映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】ブラッド・ダイヤモンド(2006)

2006年。

 

レオナルド・ディカプリオジャイモン・フンスー出演。

 

シエラレオネを舞台にした巨大ピンクダイヤの争奪戦が繰り広げられます。その中で様々な人間ドラマが展開されます。

様々なテーマを一つの作品にぶちこんでますが、空中分解することなくきっちりまとめ上げられている大作。

 

紛争ダイヤを巡る攻防は三つ巴。

主人公サイド、反政府軍、政府軍の思惑が交錯。

主人公サイドは二つの巨大な組織にとってもキーマン。

ダイヤの隠し場所も主人公サイドが知り得る情報です。

圧倒的に主人公側が不利な状況でダイヤの行方は・・・という感じです。

 

 

まずストーリーが面白いです。ダイヤを巡る争奪戦、唯一ダイヤのありかを知る黒人の仲間が一曲二癖あり、家族も人質に取られているという状況。うっかり屋さんでピンチを招くことも。家族に対する熱い思いが空回りしたりもします。

対する主人公のディカプリオの立ち回りはクレバー。最初は捨てる気まんまんだった黒人に対して情がわき終盤は思いもよらぬ行動に出ます。

ラスト、漢を見せるディカプリオ、家族を取り戻す黒人。良いです。

 

それと映像の迫力がすごいです。どっかんバッカン銃弾飛び交うフィールド(街、森とか)を逃げ回りながら即興の作戦で苦難を乗り切っていきます。緊迫感や臨場感がすごい。

 

最後にテーマ性です。

もうひとり主人公サイドにヒロインなジャーナリストがいてその人が紛争ダイヤの汚いシステムを白日の下に晒します。ここで主人公の行動が回り回って社会を動かし、意味を持つことになります。

また紛争パートでショッキングだったのは少年兵ですね。少年を洗脳して兵力として仕立て上げる手法。劇中では反政府軍のみ少年兵を有していましたが、実際は政府軍も同じことをやっていたとか。

さらに、道端で佇んでる女性や女の子がいきなり銃で襲ってくるというシーンも。まるで人食い箱やミミックです。

 

総合的にかなりレベルの高い作品。映画というエンターテイメントのお手本とも言うべき傑作。

大半の人は見て損はないと思います。

【映画感想】硫黄島からの手紙(2006)

2006年。

クリント・イーストウッド監督、渡辺謙二宮和也他。

 

当時話題になった戦争映画です。

 

冒頭は硫黄島で戦争が始まる様子が描かれ、3分の1を過ぎたあたりからいよいよ戦争が始まります。

 

正直序盤はやや退屈。登場人物のバックグラウンド紹介なのでしょうがないですが。

戦争が始まってからは緊迫感が徐々に高まっていきます。手が吹っ飛んだりする描写が起爆剤となり緊迫感は高レベルに維持されていきます。

 

天皇万歳!→手榴弾で自爆していく今まで話していた同僚たち。いとも簡単に肉の塊になっていきます。

小隊の中で二宮と加瀬亮だけが死にきれません。

一方で伊原剛志の部隊が捕虜を捕獲。彼を一人の人間として扱う伊原はいい人です。

捕虜は翌朝亡くなりますが彼の母からの手紙を見て日本人たちも思うところがあります。

 

その後加瀬亮は投降するも。見張りの気まぐれで撃たれて死亡。

見張りは悪い人でした。

ちなみにラストでいい人(普通の人?)に当たった二宮は捕虜として生き残ります。

 

自軍にも言いつけを守らなかった部下を容赦なく射殺するやつもいるし、捕虜としてちゃんと扱う敵軍の人もいるのです。

 

エピソードでは加瀬亮がクビになった回想が印象に残りました。犬がうるさい、殺せと命じられた加瀬亮が空に発泡して上官に犬を殺したと報告するも、犬が鳴いちゃって上官直々に犬を射殺するという描写です。ほんとこの上官は何様なんでしょうね。

 

何様・・・そんな振る舞いをする人もいる一方で、まともな人もいる。戦のさなかで。

 

 

味方にはいい人も悪い人もいて、その人達にも家族がいる。

そんな味方たちが戦死していく様が次々に描写されるので見ていて胸が詰まります。登場人物の感情が流入してきてまたもや泣いてしまいました。

 

二宮の演技は最初微妙かと思いましたが、当時にもこういうタイプの人がいたんかなぁとも思わせるような演技です。個人的には周りと一人だけ違っているため浮いて見えて違和感を感じましたが、加瀬亮の遺体を発見したときと渡辺謙が死んだ時の顔は良かったです。

 

見ていてきつかったですが見応えがあり心も動かされました。

 

【映画感想】ボーダーライン(2015)

2015年。

 

麻薬戦争系。

 

主演はFBI捜査官ケイト演じるエミリー・ブラントですが・・・

本当の主人公は物語前半はケイトの影に隠れていますが相棒(ってほど仲がいいわけじゃないですが)ポジションだと思われていたアレハンドロ(デル・トロ)がいつの間にか物語の中心人物になっていました。

主人公はアレハンドロたちの作戦に利用された哀れな人・・・でした。

 

麻薬カルテルを撲滅せんとする者たちを描いています。

カルテルは警察も抱き込んでおり汚職警官蔓延る汚れた世界なので法がどうの言っちゃいられないというのはなんとなく伝わってきます。

無法VS無法の戦い。その後始末のために主人公が利用されるということに。

 

 

影の主人公アレハンドロの動機は後半に明らかにされ、彼は真のボスを殺します。一家含め全員。

そこに至るまでの詳細な経緯が私はよく理解できませんでした(銀行で監視カメラに映る主人公とその後のテッドとのやり取り等)。

 

真のボスにたどり着くために手段を選ばずアレハンドロたちは作戦を遂行し、主人公たちは利用されているというのはわかりますが、細かいディティール部分が難しくてよくわかりませんでした。

 

ですが、後半の緊迫感や効果音の威圧感で半分くらいよくわからないつつも麻薬戦争のおっかなさが伝わってきて面白かったです。

 

女主人公は空気で、アレハンドロのキャラが魅力的な映画でした。

関係ないですがアレハンドロがボスにトドメをさすシーンでリアル地震に遭遇して更にびっくりしました。

【映画感想】ブレイド(1998)

1998年。

ウェズリー・スナイプス主演。

 

人間とヴァンパイアが共存している社会。

ヴァンパイアと人間のハーフとして生まれたブレイド

人間とヴァンパイア両方の特徴を持つニュータイプが母親を殺されたことからヴァンパイアを恨みヴァンパイアハンターになるという話。

 

ストーリーは王道の復讐もの。

主人公はヴァンパイアと同じ血を吸いたい欲求というものがあります。

それを我慢して血清でがんばってます。

がんばっていましたが、敵にとっ捕まって泥水被ったアンパンマンみたいになってしまいます。

そしてヒロインが血を吸わせ、新しい顔のアンパンマンになってパワーアップ。

一方敵も神の力を蘇らせパワーアップ。

最強VS最強のバトルが繰り広げられる・・・という少年漫画のようなストーリーです。

まぁマーベル原作なんですけど。

 

感想としてはウェズリー・スナイプスがはまり役で刀を使ったアクションシーンが純粋にかっこいいです。

序盤ではマシンガンや刃のブーメランみたいな武器も登場。

クライマックスのバトルはいいんですけど、血清手裏剣を投げてトドメとばかりに血清をキックして敵のおでこにぶっ刺さるという一連の流れにはちょっと笑っちゃいました(その前の胴体真っ二つにしたと思ったらすぐにくっついちゃうやつもアレですが)。

 

視聴中は母親の仇の男の彼女が母親(ヴァンパイアのため老けない)という展開にちょっとついていけませんでした。

納得がいかないというよりも主人公と同年代の黒人女性が母親と言っているところがです。絵的な問題ですけど。

 

ちなみにこの映画を見ていてキアヌのコンスタンティンとかベールのリベリオンを思い出しました。

 

ウェズリー・スナイプスのアクションがとにかくかっこいい映画でした。

ただちょっとグロめ。

 

【映画感想】フラガール(2006)

2006年。

蒼井優松雪泰子他。

 

舞台は昭和40年代、福島の炭鉱の町。

時代は石炭から石油に。エネルギー革命により炭鉱の町の経済は大ピンチに。

そこでハワイアンな施設を作ってフラダンスショーやって町おこしをしようという感じ。

実話ベース。

 

キャストの全員がダンス未経験で臨んでいるので、昔やってたウォーターボーイズみたいな雰囲気があります。

一丸となってフラダンスの練習を一からやって、最後のクライマックスでその成果をお披露目。そして感動・・・という流れ。

 

時代設定が昭和、炭鉱の片田舎が舞台ということでそこに住まう人々も言っちゃ悪いですがガサツです。

炭鉱をリストラされたオヤジが自分の娘にDVするシーンはドン引きしました。顔にあざができるまで殴るなんて・・・

それを聞きつけた松雪泰子がブチギレて男湯に乗り込んで高橋克実の首を締めるシーン、その後の別れの際の抱きしめるシーンが印象に残りました。

 

日本のこういう雰囲気映画特有の綺麗すぎる演出(東京に帰る松雪泰子をフラダンス語?でみんなが見送るシーンとか)に対して少し冷静になる自分がいましたが、役者のあらっぽい演技(暴力)が映画自体に熱というかパワーを送っている気がしました。

 

主人公の身内の富司純子、トヨエツもカッコいいし、大勢の脇役たちもベテラン揃い。そんな錚々たるベテランキャストの中で一人浮いている存在が。

それは南海キャンディーズしずちゃん

あのおっとりしてるしずちゃんが演技?大丈夫か?

と思っていましたが、それはいい意味で裏切られました。

 

自分の身内が炭鉱事故で死んでしずちゃんが号泣するシーンで、しずちゃん?と頭に?が浮かぶくらい熱演していてあっけに取られてしまいました。そんな器用なタイプには思えない(勝手な想像ですが)ので相当ガチの熱い現場だったんじゃないかと思いました。

 

でも個人的には正直フラダンスの熱意よりも随所に散りばめらた暴力的な言動やシーンのほうが印象に残りました。

こういう意見は少数派だと思いますのでおそらく大半の人はフラダンスシーンに熱くなれるんじゃないかと思います。

 

みんなで一つの目標に向かってがんばったことがある人にオススメ。

【映画感想】ラブ&ドラッグ(2010)

2010年。

ジェイク・ジレンホール、アン・ハサウェイ主演のラブコメ映画。

実話ベース。

時代はポケベル、ビデオカセットとかの時代。

 

病院に自社の薬品を売り込み、必要とあらば受付の女性と寝て硬い病院の門を開き医者と接触し営業をかけるというファイザーのMR(薬品の営業)が主人公。

ヤリチンです。

ある日、パーキンソン病患者のアンハサウェイに一目惚れ。

アンは病気がコンプレックス。でも表には出しません。

お互いに体目的という利害が一致し肉体関係を結びます。

その後も逢瀬を繰り返していきます。そのうちに主人公は生まれてはじめて恋に本気になり愛を感じます(主人公はのし上がるためにヤリチンになったという設定なので生粋のヤリチンではないっぽい)。

 

一方バイアグラがヒットし仕事は順調そのもの。

アンは病気のことで恋人に迷惑をかけたくないという気持ちがあり、何かと突き放すような行動を最後まで取り続けます。主人公がパーキンソン病を治すために奔走している最中も。

そして自分から身を引くことを決意。他の男を作り振ります・・・が主人公はどうしても諦めきれずに・・・という流れです。

 

 

タイトルがラブ&ドラッグということで危険な雰囲気がプンプンしますが、ラブはラブとしてドラッグというのは主人公がMRということに由来してるのでそんなに危険じゃありません。

最初は過激なシーンが多めですが、後半はまろやかになっていきます。

またテンポがよく見やすいと思いました。ベッドシーンがいいアクセントになっています。そのベッドシーンですが、最初はエロいんですけど主演の二人の愛情が深まっていくにつれて愛を感じさせるものに変化していきます。

 

ベッドシーンのオンパレードですのでアンハサウェイは豪快に脱いでいます。

レンホールは見た目と役のキャラがマッチしていて結構はまり役だったと思います。

 

見ている最中は面白いとかいい映画と思って見ていましたが、冷静になって考えてみると意外とありきたりで普通な映画だったかもしれません。でもやっぱいい映画だと思います。

 

この映画の登場人物に癌と言える存在がいます。それは主人公のデブの弟です。

はっきり言って画面にいるだけで汚らしいです。性格がいいならまだいいんですが、ヲタだし、不潔だし、しつこいし、いつまでも居候するし、兄貴のハ○撮りビデオ盗み見て自慰するし、乱交パーティに金魚の糞でついてきたり・・・図々し過ぎてとてもうざい。

最後にいいとこ見せると思いきや愛のないファックの無味乾燥さを体験し嫁の元に戻るだけ。

こんな不快なキャラは結構珍しいかも、と思うくらい邪魔なキャラでした(主人公の家に居候している分、出番が多い)。

 

いい映画でしたけど弟が鬱陶しかったのでもう見ないでしょうね。

 

【映画感想】風をつかまえた少年(2019)

2019年。

 

舞台はアフリカ最貧国と言われるマラウイ

クソ政府、厳しい環境のせいで人々は貧しい生活を送っています。

 

学費が払えず学校に通えないどころか、飢饉等で生徒の数が少なくなると教師も食べて行けず学校閉鎖、そしていつまで経っても教育が進まず、文明は発達せず・・・という悪循環に陥っている国です。

 

この物語はそんなどん底の中でも懸命に生きている人たちを描いています。

劣悪な環境描写はよく出来ていてキツイなぁ~というのが画面を通して伝わってきます。

 

そんなマラウイのとある村に住む少年が自転車のダイナモ式ライトの仕組みに興味を持ち、勉強し・・・というわけには簡単にいきません。

 

勉強するにもハードルがあるのです。

学費未払いの家の主人公は退学しろしろと教師から言われ、図書館も利用できません。姉とデキてる教師を脅すとかしないと図書館にすらろくに入れもしないという環境です。

 

中盤で主人公の少年が風力発電を思いつき、周りの助力を得て小さい風車を作ってラジオを鳴らすことに成功します(ここらへんはワクワクしましたね)。これをでっかくして風車にすればより多くの電力を発電できると思い立ち、それに必要な道具は自転車。親父に自転車をねだるも、逆ギレされ畑仕事をしろの一点張り。理解されません。オヤジもまた家族を食わせていくために必死なんですけどね。

 

でもオヤジが息子の悲しそうな顔や妻に三行半を突きつけられ、改心。親父の自転車は風車として生まれ変わり1年中農作業することが可能になり、生活が安定してめでたしめでたしという実話ベースの映画でした。

 

 

この映画を見て思ったのはこんなことも思いつかないのか・・・ということです。

これは決して馬鹿にしているわけじゃなく、”当たり前の環境”が教育のない環境だとこうなってしまうのか・・・というある種の驚きです。

 

キャストではアカデミー作品賞受賞『それでも夜は明ける』のキウェテル・イジョフォーが主人公の父親役で出ていました。

 

それとこの映画に出ている黒人の俳優、女優さんたちの演技が切羽詰まった感がちゃんと出てて単純にすごいなと思いました。特に奥さん、姉の女性陣。これはそれでも夜は明けるでも思ったことです。

母が駆け落ち前に反抗していた娘に言った「食べるものがなくなれば私の腕を切って食べさせる。あなたは私の子供だから」というセリフが印象に残りました。

 

ただ、風力発電でポンプを動かすというんですけど、井戸から水を持ってくるというものですので、みんなでバケツリレーの人海作戦で水まけばいいんじゃ・・・と一瞬思ってしまいました。まぁみんな貧乏暇なしで忙しいし他にやることあるし・・・とその邪推を埋めることにしました。

 

事前知識なしで見たので実話だったことが最後に判明しちょっとびっくり。教育は力というのを再確認した映画でした。