映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】デッドマン・ウォーキング (1995)

1995年の映画。

 

死刑制度をテーマにした映画で、監督は前年1994年にショーシャンクの空にで主演も務めたティム・ロビンスです。

 

シスターと死刑囚とのやり取りが大半を締めます。二人のやり取りを時間をかけて丁寧に描くことによりリアリティーをなるべく高めようとする姿勢が伝わってきます。

シスターの仕事は死刑囚版おくりびとというイメージでしょうか。死刑囚を死刑台に送り出すまでの精神的ケアをします。おくりびと見てないので適当ですが。

 

死刑囚役のショーン・ペンの演技が良かったです。

電気椅子で死ぬのかと思いきや毒薬の点滴で執行していました。

苦しんで死ぬんじゃないんだなと思いました。そして日本の絞首刑は首吊だから苦しむんじゃないかという疑問が浮かびました。ネットでググると落下加速度で頚椎を断裂するそうで瞬時に意識が飛び医学的には苦しまないというような情報が出てきました。

 

しかし重い映画です。この映画の監督は死刑制度廃止側だそうです。ただ映画を見た限りそこまでの偏重は感じませんでした。

死刑囚と彼らの家族とのやり取りもありますが、犯罪内容の残虐さ身勝手さや遺族側の憤りも描いています。

 

死刑制度を維持すべきか廃止すべきかは短い時間で一人で答えを出すのは無理でしょう。ここまで積み重ねられてきた長い歴史を経ても死刑が肯定されている国、州や否定される国もあります。今更皆で議論しても自分が納得できる回答を得られる絵が浮かびません。

 

レイプ殺人をした者は勿論裁かれるべきです。裁き方にもいろいろありますが、その中で犯罪者の命を奪う死で償うという方法があります。死刑ですね。そこに合理性はあるのか?と蚊帳の外にいる人間は考えがちです。しかし、被害者側からしたら憎しみがあるわけです。ぶっ殺してやりたい気分になるでしょう。「目には目を」で犯罪者に死んでほしいと願いをれを叶える手段として死刑があります。でも肉親の命を無残に奪われた立場に立っていもしない人間には想像ができません。また死をちらつかせることで犯罪抑止力になるというところもあります。人を殺したところで自分の命は取られることは決してないとなるとそこに不平等感も感じられます。

この映画を見て私は死刑はあってもいいんじゃないかという側にすこし傾いています。

観た後どんよりした気分になりましたが、考えさせられる映画です。

ただこの映画のほんの表面にしか触れられている気がしていないというのも感じます。