映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】君の膵臓をたべたい(2017)

2017年。

浜辺美波北村匠海出演。

主人公は北村君ですかね。

 

数年前に話題になった作品なので見たことはありませんでしたが名前は知っていました。インパクトあるし。

 

若い男女が病気でうんぬんかんぬん系です。日本ではセカチューを皮切りに10年置きくらいでこういう系でかなり流行る映画が出るなという印象です。

 

個人的には今年見た横浜流星、清原果耶の愛唄に設定とかエピソードの被りを感じました。本を拾って病気がわかるとか、ヒロインが病気なのに明るいでも裏では泣いてるとか、夜に病院に忍び込むとか、男のほうが陰キャとか、でもそれが若い人病気系の定番なのかもしれませんね。

 

感想としては結構良かったです。

前半はとても見やすかったです。この映画は浜辺が死ぬまで青年期の回想で大人とか年配者が出てこないとぐぐったら書いてありました。

 

あ、言われてみればと思いました。客観でなく「僕」の主観の世界のため登場人物が限定され、結果的に少なくなり、人物の立ち位置、関係性などに余計な要素が徹底排除、シンプル化されていたためとても見やすく感じたんだと思います。

冒頭でいっぱい登場人物を出されると覚えるのに苦労してその映画自体に抵抗感を感じてしまうんですよね。

 

映画の演出の一貫なのかもしれませんが、「起」と「承の前半部」あたりはストーリーがスルスル自分の中に入ってきて心地よささえ感じました。

浜辺と北村が秘密を二人だけで共有し、お泊り旅行に行く下りとかですね。見やすい。

 

その後やや中だるみを感じて、意外な形で浜辺美波は退場します。いくら序盤の伏線があるからと言っても、若くして膵臓の病気で余命わずかな上に通り魔に殺されるってどんな低確率やねん・・・と一気に現実感がなくなります。おお、こういう形で退場させるのねと没入感が一気にダウン。余命を全うできると思っていたけどそれは違った・・・というのは新しい切り口だとは思いますが。

 

 

個人的にこの映画のピークは共病文庫を北村君が見るシーンですね。一人で部屋にこもって読むのかと思いきや浜辺母の前で読むんかいと思いましたけど。

あの時こんなこと思っていたんだ・・・とかその影で苦しい思いをしていたんだ・・・という楽しかったことと苦しかったことが交互に描写されます。

 

そしてその後北村君はお母さんに差し出がましいですが泣いてもいいですか?と言い、堰を切ったように号泣します。そのシーンの彼の演技を超えてガチ泣きしているように見え結構良かったです。もらい泣きはしませんでしたが。

ここで原作は終わるそうです。

 

そして冒頭から挿入されていた現代編も動き出します。という流れです。なんで北川景子がちょいちょい出てきたのかがわかります。ガムの人との結婚式前に手紙を読んで号泣するシーンの北川さんの演技は結構良かったです。

ただ、この原作にはない映画オリジナルのラストシーン、個人的には蛇足に感じました。

 

描きたいことはわかりますし、最後に友達になることで欠けた最後のピースが埋まる感もあり物語がうまく締まるというのは形式的にはわかります。ただ追加ラストシーンのおかげで北村君の号泣シーンの印象がいささか薄まってしまった感もあります。それは一つの物語に2つのテーマ(浜辺と浜辺の女友達)をぶちこんだがゆえにテーマがぶれてしまった感を感じたからだと思います。それに制作側の作為的な意思を感じてしまっって(それまでも感じていましたが、ラストでスケスケに)興ざめして結局最後まで泣けず、見終わった後も「ほう、こんなもんか・・・」と妙に冷静になってました。

 

ここは人それぞれだと思いますが、個人的にはその後の隠されし手紙の下りにより共病文庫の爆発力が減殺されてラストのインパクトが落ちてしまったというデメリットのほうを強く感じてしまいました。確かに隠されし手紙のくだりは、え?まだ何かあんの?というワクワクが自分の中で生じたことも否めませんが。

 

個人的には途中でうるっと来たものの、終わってみればそれほどでもない。

そんな感動映画でした。