2020年。
演劇やってるヒモのクズ男を中心とした物語です。
まじめに生きてる人は主人公のクズっぷりにイラつくかもしれません。ただ自分も褒められた人生を送ってきた身ではないので偉そうにイラつくことができません。それは自分にイラつくということですから。
私は自分を世間的に見ればクズだと自覚してますが、自分で自分のことをクズだとは特に思っていません。自己肯定感を持って生きているつもりです。
なのでこの映画の主人公に対してはイラつくというのもまったくないというのは嘘になりますが、いいなぁヒモ生活と正直思ってしまいました。
彼女がそれを許してるんだからいいじゃんと思います。
ただクズなくせにプライドは高く才能ないくせに自分に才能があると密かに思っています。後半でそのことを周囲の親しい人間からズバリ指摘され彼女と別れてあげなということを暗に言われるシーンがあります。でも認めたくないし結局認めないというのもなんかわかる気がします。
私がクズと他人に評価されるべき人間なのかこのクズ主人公の気持ちにシンパシーを感じる部分があるのです。もちろん全部じゃないです。粗野で彼女に些細なことでブチ切れたりする気持ちはわかりません。
ただ、空回りのプライドとか些細なことに傷つくというのはわかります。この主人公は些細なことに傷ついた時に凶暴になり攻撃性をむき出しにしますが、自分の場合はひた隠しにしたりなかったことにします。でも方法こそ違うものの自分の中にくだらないプライドがあってそこをチクリとされると過敏に反応して人一倍傷ついてしまうという本質は一緒なのです。
才能も実力もからきしだがプライドだけはいっちょ前という人間にありがちなことのひとつに他人の評価をやたら気にするというのがあるんじゃないかと思います。自分が人からどう思われているか気になってしょうがない、みたいなやつです。
自分も昔はその口だったので共感できました(今は開き直ってます)。
私はクズなのでこの映画はクズ目線で共感する部分がいくつかあるという点で割と楽しめました。テンポは正直そんなよくありませんし、日常系っぽい感じなので賛否はあると思います。
主演の山崎君のボサボサ髪、ヒゲスタイルは意外と似合っていて今までの彼にはない色気を感じました。
またヒロイン役の松岡さんもどこにでもいそうな若い女性を好演していたと思います。
クズ人間の私からするとこの映画は悪くなかったですが、まともな人が見るとどうなるかは???です。