映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】この世界の片隅に(2016)

2016年。

 

大まかに言うと日本の太平洋戦争とか原爆系です。

時代設定は1930年くらいから終戦直後あたりまでだと思います。

 

主人公すずの広島、呉での生活を周囲の人々との交流とともに描きます。

少女時代から始まり、嫁ぎ生活していく内に戦争に巻き込まれるという感じです。

不発の空襲警報に肩透かしを食らうのはなんとなく気持ちがわかりました。

緊急地震速報がスカったり大したことない規模だったりした時は現代でも体験することなので。

 

この映画のタイトルときつい感じの内容は事前に知っていました。

蓋を開けてみるとたしかにキツイ箇所もありますが、戦時下でもたくましく生きる人達を描いているため思ったより辛気臭くありませんでした。

 

とは言え衝撃シーンもあります。義理の姉の連れ子を不発弾で失い、つないでいた右手を失ってしまうシーンは最初の衝撃でした。なんの罪もない一緒に暮らしていた無垢な子供(序盤ちょいくらいから出演)が木っ端微塵とか神も仏もない容赦ない展開です。

 

戦争ものとはわかってはいましたが、それまで割とのほほんとかほんわかとかそんな感じで進行していた故にギャップで目が覚めるような衝撃を受けました。四肢欠損はキツイですね。ハンターハンターじゃないのでまた生えてこないですし。

 

原爆投下時主人公は呉にいたので助かったのが意外でした。しかし両親は死に生き残った妹も原爆の後遺症でその後どうなったのかがなんとなく予想できるので本当にキツイんですけど、そのキツさについてに登場人物が辛さを見せないためえ?となりました(この時は原爆の後遺症について主人公サイドがまだ知らないというのは置いておきます)が、日も経ってるので時間が平静さと前向きさを取り戻させたんでしょうと解釈しました。

 

でも主人公側からすると兄、母、父を失ったことを知らされていたのでキツイですがそんな素振りを見せないのは身近な人を失うキツさが麻痺してしまうような時代にいたからなじゃないかと思いました。

 

そしてラスト前の衝撃シーンその2。ここがグロレベルではMAXでしょう。原爆が光り、母親が子供の手を引きずっているシーン。母親は片腕が欠損、血まみれで最後の力を振り絞って子供を引きずっています。

最初え?と思いました。あの見ず知らずの母娘が主人公と犠牲になった娘と重なって混乱しました(右腕もないですし)。いままでのは主人公の見た幻とか夢?主人公は実はあの時に死んでた?とか頭の中でいろんな説が急に生まれてはくるくるしていましたが、広島の原爆で直にやられた見ず知らずの人なんだということがすぐにわかりました。

 

いろいろな事や後に現実世界で明らかにされる知識等を知っている我々からするとキツイんですけど当時生きていた人は終戦直後ではまだ知らずに自分たちの生活の復興を頑張っていくしかないと思ったんじゃないかと思い、それがこの物語に出てくる登場人物が逞しく見えた要因のひとつなんじゃないかと思いました。

 

主人公のキャラとのんの声(とイメージ)があってました。

思っていたようなキツさ(はだしのゲン的なもの)ではありませんでしたが、心に来るなかなかの衝撃を与えてくれました。後半は画面に釘付けだったので私は結構楽しめました(楽しむというのはちょっと違うんですけど)。