映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】風をつかまえた少年(2019)

2019年。

 

舞台はアフリカ最貧国と言われるマラウイ

クソ政府、厳しい環境のせいで人々は貧しい生活を送っています。

 

学費が払えず学校に通えないどころか、飢饉等で生徒の数が少なくなると教師も食べて行けず学校閉鎖、そしていつまで経っても教育が進まず、文明は発達せず・・・という悪循環に陥っている国です。

 

この物語はそんなどん底の中でも懸命に生きている人たちを描いています。

劣悪な環境描写はよく出来ていてキツイなぁ~というのが画面を通して伝わってきます。

 

そんなマラウイのとある村に住む少年が自転車のダイナモ式ライトの仕組みに興味を持ち、勉強し・・・というわけには簡単にいきません。

 

勉強するにもハードルがあるのです。

学費未払いの家の主人公は退学しろしろと教師から言われ、図書館も利用できません。姉とデキてる教師を脅すとかしないと図書館にすらろくに入れもしないという環境です。

 

中盤で主人公の少年が風力発電を思いつき、周りの助力を得て小さい風車を作ってラジオを鳴らすことに成功します(ここらへんはワクワクしましたね)。これをでっかくして風車にすればより多くの電力を発電できると思い立ち、それに必要な道具は自転車。親父に自転車をねだるも、逆ギレされ畑仕事をしろの一点張り。理解されません。オヤジもまた家族を食わせていくために必死なんですけどね。

 

でもオヤジが息子の悲しそうな顔や妻に三行半を突きつけられ、改心。親父の自転車は風車として生まれ変わり1年中農作業することが可能になり、生活が安定してめでたしめでたしという実話ベースの映画でした。

 

 

この映画を見て思ったのはこんなことも思いつかないのか・・・ということです。

これは決して馬鹿にしているわけじゃなく、”当たり前の環境”が教育のない環境だとこうなってしまうのか・・・というある種の驚きです。

 

キャストではアカデミー作品賞受賞『それでも夜は明ける』のキウェテル・イジョフォーが主人公の父親役で出ていました。

 

それとこの映画に出ている黒人の俳優、女優さんたちの演技が切羽詰まった感がちゃんと出てて単純にすごいなと思いました。特に奥さん、姉の女性陣。これはそれでも夜は明けるでも思ったことです。

母が駆け落ち前に反抗していた娘に言った「食べるものがなくなれば私の腕を切って食べさせる。あなたは私の子供だから」というセリフが印象に残りました。

 

ただ、風力発電でポンプを動かすというんですけど、井戸から水を持ってくるというものですので、みんなでバケツリレーの人海作戦で水まけばいいんじゃ・・・と一瞬思ってしまいました。まぁみんな貧乏暇なしで忙しいし他にやることあるし・・・とその邪推を埋めることにしました。

 

事前知識なしで見たので実話だったことが最後に判明しちょっとびっくり。教育は力というのを再確認した映画でした。