1993年。
カート・ラッセル主演の史実をベースにした西部劇です。
舞台は南北戦争集結後のトゥームストーンという地。
OK牧場の決闘というなんども映像化された歴史事件とその前後を描いた作品です。
劇中でやってることは2つの勢力の復讐劇です。
主人公ワイアットを演じるカート・ラッセルたちは決闘で勝つものの残党により兄は腕切断、弟は命を奪われてしまいます。
その三兄弟とは別にカート・ラッセルの友達のドク・ホリデイを演じるバル・キルマーがいます。
個人的に映画に関しては正直一連の決闘とか復讐の連鎖とかどんぱちはお飾りで、このドクとワイアットの友情が全てでした。
特にドクのキャラクターがなんとも魅力的なんですよね。
結核を患っていて一人だけ常に真っ青な顔をしていて脂汗をかいています。
そんなんなのに女遊びやギャンブルに興じている。
病気がそうさせるのかどこか人生を諦めたふうな哀愁を漂わせています。
死に場所を探しているというか・・・
でも義理堅い人物で唯一の信頼できる友人であるワイアットのための戦いに損得勘定無しで助っ人に入って大活躍します。
そう、彼はめちゃめちゃ凄腕のガンマンなのです。
西部劇、ウエスタン、決斗・・・そんな風味な映画といえばどんぱち合戦だったり溜めに溜めたにらみ合いの末の一瞬の決着等がメインディッシュであり人間ドラマは二の次というイメージがありました。
この映画は自分でも気づかないほどの人間ドラマがあったことをラストにドクが病床に臥せっているシーンで気づきました。
劇中にはいろいろな人物があっていろいろな事件が起きてその中にぽつんとなぜかいる人という印象でした。前半は。
でも後半になり人死にが敵味方結構出始めて、それでもあの顔色の悪い人は何気に残っている。
そして敵の凄腕ガンマンをも病気なのに撃破。
そして最後のお別れのシーン。
誰にも話したことのない初恋の話を語り、最期にワイアットの背中を押します(ワイアットは女優といい感じに劇中でなっているけどいろんな足かせ的なもんがある)。
その話を聞いている最中に急に自分の目から涙が出てきました。
・いままでそんなに重要人物じゃないと思っていたけど終わってみればこいつが一番かっこいい漢だった
・相手がいとこという結ばれない本気の恋をしていた
・そのことが後の生き方に影響を与えたであろうという想像
・常に満身創痍な感じで風前の灯というような状態
・かけ値なしにたったひとりの友人のために戦った
・他に誰もいない寂しい人
といういうことが自分の中で判明(想像の部分もありますが)し、急にこの人物が魅力的に思えてきました。
これまで全く気づくことがなかったので今までの何気ない言動すべてが伏線となり急に自分に襲いかかった、からなのかもしれません。
自分の中ではこの涙は全くの想定外で完全に意表を突かれました。
まさか西部劇で泣かされる日が来るとは思いませんでした。
なので個人的にはいい映画でした。