2010年。
岩場と岩場の間に落下したポジティブ系の登山家。そこに運命の悪戯で上から降ってきた岩がスポッと入ります。しかし同時に彼の右腕まで巻き込んでいたのでした。そこから127時間の絶望が始まります。
岩をちゃちいナイフでゴシゴシ削りますが駄目。手持ちのビデオカメラで記憶を残しつつ残り少ないバッテリーと水がどんどんなくなっていきます。明るい材料を探そうと一人で漫談したりテンションの上がる音楽を聞いて精神を保とうとします。
挟まった右腕は壊死していきます。意識が朦朧としていた最中うっかりナルゲンボトルから水をこぼしてしまい、仕方なくおしっこを溜めて飲んだりと生きるためになりふり構わなくなっていきます。さらに時間が経つにつれて心身ともに限界に近づき妄想や過去を思い出したり父さん母さんありがとうと言い残したり、今までの俺のすべての行いはすべてこの岩場の間に繋がっていた・・・とか悟りを開いたりします。
そして主人公は最後の力を振り絞り究極の決断をする・・・という物語です。
感想はとにかく絶望しかないということです。
主人公の俳優さんの鬼気迫る演技もあり没入度は高めです。ただ物語の大半が岩場の中で完結しているために正直尺稼ぎが多少気になるところです。舞台設定がこういうことなので妄想や夢なしでは尺の埋めようがないので致し方無いとは思いますが。むしろ監督の持つセンスでうまく見せているとも言えます。
最初はポップな演出で思ったほど絶望感を感じさせませんが、段々小細工が通用しなくなっていき徐々に追い詰められていきます。同時に不安感、焦燥感も徐々に忍び寄ってきて絶望がどんどん大きくなっていく過程の描写が中々いい感じ。妄想や夢も主人公の限界突破した精神状態の演出に一役買っています。
そしてクライマックスですね。あのシーン・・・。いや、もう画面の前で思わずいぎぎぎぎ・・・とかぐうぇぇぇ・・・とか言いながら顔をめっちゃしかめて見ていました。この場面は映画館でも失神した人が出るくらいショッキングでグロテスクなシーンで全身の毛穴がぶわっと開放され、あわや放心状態というような気分になりました。
そしてエピローグでああなってしまった主人公が今でも変わらずにアクティビティに勤しんでいるという後日談が流れやっぱこういう人って懲りないんだよな・・・と納得させてくれました。
クライマックスで活を入れられたため悪くない映画でした。
気軽におすすめはしません・・・。