【映画感想】シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016)
2016年。
MCU作品フェーズ3の幕開けはキャプテン・アメリカから。
と思ったんですが中身はアベンジャーズじゃね?というくらいヒーローが勢揃いしています。ハルクとソーはいませんが。
まず戦闘時に民間人の犠牲者が出たり建物壊しまくりのアベンジャーズがやり玉に挙げられヒーローいらなくね?というMr.インクレディブルみたいな展開になります。
厳密に言えばいらなくね?じゃなくて国連が出動を管理しようとなり、各ヒーローにそのことに合意するようサインを求めます。
トニー・スタークは教え子がアベンジャーズ戦闘下で流れ弾が当たった的な死に方をしたことが彼の考えに影響を与え結局調印します。
しかしキャプテン・アメリカは組織に管理されることを拒み調印しません。
この2人の対立がやがてアベンジャーズ全体を2分する仲間割れを引き起こす大事態に発展します。
ストーリーはサスペンス調で今までにない謎が謎を呼ぶという巧みな構成になっています。主犯の男のキャラも今までにないタイプ。例えるならダークナイトのジョーカーのような自分はスーパーマンのような能力はないけど自分の手を汚さず巧く敵を誘導して同士討ちをさせるという非情に厄介なことをします。
フェーズ3からの新しい試みとして新キャラ最初から出していくスタイルというのも挙げられます。後に単独主人公となるスパイダーマンとブラックパンサーがいきなり登場。自己紹介がてら力の一部を見せます。
スパイダーマンの戦闘でSW帝国の逆襲ネタがあって私はその作品を見ていたのでああ、あれかとちょっと興奮しました。元ネタがわかるっていいですね。てかスパイダーマンが意外と強かったです。というか糸が強すぎ。
中盤のアベンジャーズが2つの軍に分かれて総力戦を繰り広げるパートは正直人数多いし新キャラいるしサブポジションの人達もいるしで情報量多すぎてどのキャラがどっちの派閥に属しているんだっけ?とごっちゃになりました。まぁ今までにない展開でバトルシーンなんでOKなんですけど。
アントマンがでっかくなっちゃったのもいきなりの新能力の披露でしたね。ハルクはもう引退しちゃってこのデカチビ光線銃を地でいってるアントマンが後任なんかなーともちょっと思いました。
そんなこんなんで予定調和に最後まで進んでいくかなぁ~と思ってみていました(ただ一方でダークな雰囲気は相変わらずだし主犯の男も得体のしれないヤツなんでなんかそうでもないような・・・という気もしていました)が、クライマックスで超意外な展開が起きました。
キャプテン・アメリカとバッキーが主犯のところにいきウィンター・ソルジャーたちと戦っているとこに仲直り的にアイアンマン登場。共闘して伏線のウィンター・ソルジャーの親玉的存在with取り巻き軍団と戦うというようないつもの流れを予想していましたがまんまとやられました。
この誰もが予想するであろう結末はミスリード。ここからトニー・スタークにまつわる重大な事実が判明し事態は予想だにしない展開になだれ込みます。
まるで暗黒面に落っこちちゃいそうな形相のトニー・スタークが復讐の鬼と化して死闘を繰り広げるなんて私には予想できませんでした。
中盤で情報量がやたら多く本筋から脱線気味だったのも目くらまし的なものでもしかして計算?とすら思っちゃう程です。いやはや驚きました。
これはどんでん返しで今までのMCUにはなかった要素だったので嬉しい誤算です。
今まで飄々としていたスタークも挫折じゃないですけど心理的に凹んだりむき出しの感情を顕にするシーンもありキャラとして一皮むけた感もあります。
オチも悲壮感漂うものでなく、道は違えどピンチの時は一緒に集まろう的な友情の存続を示唆するちょっと切なく希望は残されている的なエンドだったので湿っぽくなくいい終わり方だったと思います。
キャラが一段階掘り下げられた感があり単なるヒーローの皮を脱皮したといえるMCU作品でした。
面白かったです。