映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】魔女の宅急便(1989)

1989年。

宮崎駿監督。ジブリ作品。

 

13歳の魔女っ子キキが主人公。

正直魔女とか修行とかいう設定は気にせず見ていました。

 

都会の街にやってきたキキが地味な格好をしている自分とおしゃれな格好をしている同世代の子を比べて不機嫌になる図はリア充に対して非リア充が感じているコンプレックスや嫉妬のようなものを連想します。

 

よかったところはネガティブなシーンですが、午後6時からのパーティの前に温厚な老婦人の家でキキと老婦人が孫娘のためにニシンのパイを作るくだりですね。

孫娘に届けるときに大雨が降りずぶ濡れになって到着。ドアを開ける孫娘。ずぶ濡れのキキを見たときの表情の変化が面白いです。

最初は愛想を振こうという表情がずぶ濡れの小汚い格好のキキを見た瞬間に警戒心を顕にしてネガティブな表情に変わるとこが印象に残りました。

その後も人(離れて暮らしてるおばあちゃん)の好意を無にするようにぼやいて(いらないっていったのに~、私おばあちゃんのニシンパイきらいなよねぇ)塩対応をされてキキは凹み、パーティーにもいけず、そのままベッドで寝込んでしまい風邪も引いてしまう・・・という泣きっ面に蜂になるキキというところがなんかよかったです。

 

 

その後不良と思わせて実はいい人の少年トンボと心を通わせますが、そこにトンボの知り合いのリア充軍団5人くらいが車に乗ってやってきます。飛行船を見に行こうとなりますがキキはそのリア充軍団の中にこの前の老婦人の孫娘がいるのを見つけて表情を曇らせ不機嫌になりトンボの誘いを断ってしまいます。そんな自分に対しての自己嫌悪も。そして今まで使えた魔法の力が弱まりホウキに乗って空を飛ぶこともできなくなり、猫の言葉も聞こえなくなってしまいます。その猫は猫で伴侶を見つけ成長するどころか退化している自分に焦る・・・まさに劇中でキキがどん底の状態です。

 

そこに前半で知り合った絵かきのお姉さんと過ごしたり、老婦人にキキのためのケーキを渡されたりとだんだん回復していきます。ところがそんな矢先トンボが空中でコントロールを失った飛行船から垂らされたロープにしがみついているという大事件が。キキはトンボを助けることができるのか? という流れです。

 

 

ラストのクライマックスは思わず目頭が熱くなります。思えばキキは最初の仕事から災難続きで順調にいったのは序盤のおしゃぶりを届けるくだりくらいなものだったかもしれません。それ以外は仕事がなく暇にしてたり仕事で嫌な気持ちになったり(孫娘のくだり)トンボの行為を無にしてしまう素直になれない自分が嫌だったり、魔女なのに魔法が使えなくてなんの取り柄もないじゃん私・・・みたいに色々あった上だったからこそのラストの盛り上がりやキキの成長に感動するんだと思いました。

 

子供向けではあるけれど大人は大人で共感できる面もある、子供の時に見て大人になってからまた見ると子供の時とは違った良さを感じる、そんな映画です。