映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】薬の神じゃない!(2018)

2018年。

エイズ治療薬をめぐる第三世界アメリカの大手製薬会社(主にファイザー)との戦いを描いたドキュメンタリー映画です。

 

利益を追求するファイザー(利益を最大化するために薬価を下げたくない)と一人でも命を救いたい(安価で薬よこせ)アフリカの間で様々な専門家やアメリカ政府やクリントンを巻き込み、エイズ治療薬の薬価を下げるまでの軌跡が描かれます。

 

圧倒的パワーを持つファイザーに立ち向かうアフリカの活動家たちの戦いは見ごたえがあり、両者、対策に次ぐ対策のバトルを繰り広げ他人事で申し訳ありませんが、見ごたえはありました。そのバトル中に歴史上の出来事(911)の炭疽菌事件とかが影響を与えるのも面白いです。

 

やった目標達成!と思いきや、ファイザーの巻き返しでまた振り出しに、みたいな展開のオンパレードでエンタメ性があります。

 

この映画では、第三世界の人たちの目線で、ファイザーは暴利を貪ってる、人殺しだ(もうちょっとオブラートに包んでますがそのニュアンス)!等言って、ファイザーは安価に薬を供給すべきだと主張していますが、ファイザー側から見ると、タダ同然で薬よこせと言われているようなもので、さらに一つのほころびが自分たちの帝国が崩壊する恐れがあるというのもわかる気がします。人の命を材料に俺たちの利益を脅かしているとすら思っているでしょう。やってることからして。

 

結局ファイザー側も第三世界側の人は分かち合えないんだなぁと思いました。ファイザーは慈善団体じゃないですし、お互いに住んでいる環境も違います。本当の意味で想像することは叶いません。たとえ現地にファイザーのおえらいさんが視察しても、立場があるし、株主や従業員も自分の生活もあるので結局変わることはない。

 

以前、製薬会社は先進国相手の商売が儲かるのでアフリカは後回しというのを聞いたことがありますが、この映画では後回しどころか積極的に妨害している点が印象的でした。

 

終盤で、大手製薬会社側がWTOを巻き込んで最強の協定を作り、今後エイズ治療薬の薬価が下がったようなことは起こらないということになり、エイズ治療薬に関してはハッピーエンドになったけど、今後新しい病気が蔓延したときはその限りでないというエンドになっています。

 

金は命より重いんでしょうかね。