2007年。
今回はアメリカの医療制度にメスを入れます。
感想はとてもよかったです。
ボーリング・フォー・コロンバイン、華氏911と見てきましたがこれが一番よかったです。
純粋にエンターテイメントとしても楽しめました。
以下内容に踏み込みますがあくまで2007年公開当時の状況ということをご留意ください。
序盤はアメリカの医療制度の異常さを取り上げ、中盤はカナダ、イギリス、フランスの医療制度がだいたい無料だということを取り上げ、終盤はアメリカ版姥捨て山とグラウンドゼロのボランティアたちがキューバに行きます。
序盤は胸糞。アメリカ医療制度の闇を暴きます。かつて保険会社に在籍していた人たちがまず登場。保険に入れると喜んでいた老夫婦に審査が通らないことを知りつつもそれをおくびにも出さないよう言われていた接客係や細かいいちゃもんつけて保険金を支払わない根拠を見つけるためにあら捜しする仕事をしていた人とかです。しかし彼らも自分の良心に蓋をして心を無にして仕事をしていました。その人達は辞めてしまいました(辞めたから話せる)。
アメリカのお医者さんは保険金を出させないようにするとボーナスが出る仕組みだそうです。
最後に下級国民を食い物にする上級国民が描かれます(天下り議員等)
中盤はアメリカ医療制度の対比としてカナダ、イギリス、フランスという国民皆保険で医療費が無料という国々とそこに暮らす人々が紹介されます。
医療費無料!?入院費無料!?(子供と老人は)お薬代無料!?全部無料!?と無料にびっくりするムーア監督とそれを怪訝に思う現地の人たちの反応が面白いです。
イギリスのお医者さんは患者を治せば治すほど収入が上がる仕組みだそうです。
イギリス編からフランス編に移行する際にアメリカの保険制度に娘を殺された女性の事例を挟まれます。
次に同じような目にあってフランスでは助かった親子の話が対比に紹介されフランス編に移行しますが、落差の演出のためとは言えアメリカで娘をなくされた方は可愛そうだなと思いました。
フランス編ではかつてアメリカで暮らしていた人たちの喜びの声を紹介。彼らはめっちゃ恩恵を受けちゃっているもんですからアメリカにいる両親に対して後ろめたさを感じていました。
最後のパートの導入は一気に重くなります。医療費が払えない人を病院がタクシーに乗せて道端に捨てていくという事件が取り上げられます。それから911のときにグラウンドゼロに救助ボランティアとして参加した人の話になります。彼らは思い呼吸器疾患になってしまいました。アメリカ政府は必要な援助をしてくれず(政府職員でないという言い訳とか基金の要件を厳しくするとかです)そこでムーアの提案でキューバで治療を受ける旅にいくという流れになります。
それにしてもあの方たちが救われて本当に良かった。反マイケル・ムーアサイトの管理人のくだりも面白かった。
テンポよく進んでいき、テーマも医療という人である限り切っても切れない題材を選んでいるためよほど健康な人とか若い人出ない限り興味は持てると思います。
最後はほろっときますし。
そして昨今の新型コロナ。アメリカでは治療費としてめんたまが飛び出るくらいの金額を請求されたという話を聞きます。
この映画を見る前はなにかの間違いなんじゃ?と思いましたが、今は有り得る話だと思ってしまいます。