映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】浜の朝日の嘘つきどもと(2021)

2021年。

高畑充希主演。

 

福島のとある潰れかけの映画館を立て直す25歳くらいの女性が主人公。

 

なぜ立て直そうと思ったのかを劇中で描きつつ、進行させていくという流れになります。

 

普通に良い映画でした。

特に先生役の大久保さんが良かったですね。大久保さんは時々女優っぽいことをしていた記憶がありましたが、がっつり女優やっている姿を見るのは初めてでした。

 

違和感なく男運のない世話好きの女教師という役柄を好演していたと思います。

 

最後は全部まるっと解決するため、ハッピーな感じで終わります。

ただ、ちょっと強引かなぁとは思いましたが、この映画の肝の部分はそこにはないのでまぁ良いでしょう。

 

というかこの映画には真の意味で悪い人は登場しません。

映画館を取り壊そうとしている社長も、地元の人の雇用や憩いの場を提供するという理由で総合レジャー施設を建設しようとしていますし、主人公の疎遠だった父親も金の無心と娘を突っぱねますが、なんやかんやで娘のことを思っています。

 

刺激には乏しいものの、安心して見れる映画なんじゃないかと思いました。

【映画感想】ONODA 一万夜を越えて(2021)

2021年。

遠藤雄弥、津田寛治

戦争映画。

 

最後の日本兵と呼ばれた実在の人物の伝記映画です。

3時間となかなかの長丁場でしたが、飽きることなく楽しめました。

 

主人公が若い頃を遠藤雄弥、中年時代を津田寛治が演じています。

 

前半はよくある戦争映画の構図。

後半は戦争が終わったにも関わらずそれがわからず派遣された現地で一人ぼっち(仲間がいたけど最終的にひとりぼっちになってしまう)で敵から逃げ回ってます。銃を片手に。そして最後は日本から来た若者に救われるというストーリー。

 

淡々としてどんでん返しのようなものもありません。

ただただ、硬派といった感じです。

 

でも前半のよくある感じの部分も割と緊張感があります。主人公がリーダーということでプライベート・ライアンみたいな感じです。

 

後半、二人になってからのサバイバルパートはどこかシュールでそれまでと雰囲気が少し変わります。

長年、極限状態で暮らしているため精神的におかしくなっているから表情もどこか違和感があります。演じている役者さんナイス演技。

後半に長年苦楽をともにした唯一残った部下があっけなく殺されてしまうところは結構きつかったです。

 

演者では小野田の若い頃を演じた遠藤さん、津田さんともに良かったです。

上官役のイッセー尾形さんも。

 

敵を殺すときのナイフの刺し方が日常の延長線上のようになんの演出もない刺し方だったので逆に生々しかったです。ブスリという効果音もなし。

 

若い頃パートで海岸で最後の部下と語らうシーンが印象に残りました。

 

かっちりした真面目な映画です。

 

【映画感想】鳩の撃退法(2021)

2021年。

藤原竜也主演。

 

アウトローの手下みたいな感じの風体の小説家が主人公。

現実の出来事を小説の中に入れ込むということを日常的にやっていて、過去にそれでトラブルになったことも。

そしてまた今回もトラブルに巻き込まれ・・・みたいな流れです。

 

感想はなんか中途半端だなと。

構成トリックとして、今見ているこの映画は現実に起きていることなのか、それとも藤原竜也の頭の中の想像なのか?みたいな感じなのかなと思いましたが、蓋を開けてみると、現実に起きていることなんだなということが普通にわかります。それすら、覆るのかなと思いましたが、そういう終わり方でもありませんでした。

 

登場人物が多数出てきて、いろいろ繰り広げますが、個人的に説明不足感があり、情報の処理が物語の展開のスピードに追いつかず、理解できませんでした。

勉強とかで、なんとなくわかった気になる、感じに似ていると思います。

 

いろいろ複雑なので、3時間になってもいいからゆっくり丁寧に自然に情報を鑑賞側にわからせるような演出の工夫のようなものが欲しかったです。

 

原作はどうか知りませんが、映画はテクニックに走りすぎて、映画として大切な何かが抜け落ちてる、そんな感じがしました。

 

あと最初、伊坂幸太郎の小説が原作なのかなとも思いましたが、違いました。

【映画感想】彼女は夢で踊る(2019)

2019年。

加藤雅也、岡村いずみ他

 

ストリップ劇場の社長が回想形式で昔恋したストリッパーとの出会い等を描きます。

 

ストリップという題材とファンタジーの融合というのが多少斬新です。

ストーリーは淡々としていて最初から最後まであんまり動いていない気がしました。

雰囲気系ですかね。

 

ストリップが題材のため、劇中に裸体が普通に出てきます。

なんならモザイクまで出てきます。

でもエロさはありません。芸術とかの美しさは感じられます。

美しさを描くことには成功しているんじゃないと思いました。

 

それにしても劇中でレディオヘッドのクリープが何回流れるんだい、というくらい事あるごとに流れます。

昭和の古き良き時代に、なぜか洋楽のレディへが流れて、その度に違和感を感じました。

エンディングももちろんクリープです。

監督はよっぽどレディへ好きなのでしょうか。

 

ちょっと同じようなシーンばかりで少しばかり退屈でした。

【映画感想】ドライブ・マイ・カー(2021)

2021年。

西島秀俊主演。

 

妻と死別した舞台演出家の日常を描いた作品です。

 

3時間近くある作品ですが、時間の長さを感じませんでした。あっという間の3時間でした。

 

雰囲気がアダルトで、序盤は性描写だらけです。でもそれは序盤だけでそれ以降は全くないです。

 

ストーリーがどうこうというよりかはいかに世界観に没頭できるか、浸れるか、ということがこの作品を楽しむポイントなんじゃないかと思いました。

 

私は浸れたため、時間が過ぎるのもあっという間でしたし、心地よい時間を過ごすことができました。

 

淡々としていますが、私は前半から退屈は感じませんでした。

そのままこちらも淡々と見ていましたが、車の中での西島秀俊岡田将生の会話あたりから、見入っている自分がいました。

 

その会話は半ば空想めいたたわいもない話なんですが、画面から伝わってくる緊張感がすごく、没入しきっている自分がいました。

 

サスペンスでもないのに、この緊張感が出せるのは素直にすごいと思いました。

 

その後も三浦透子の身の上話の真相なんかがありますが、個人的にはここがピークだったように思います。

 

最初は過剰な性描写に辟易して見るのをやめようかと思いましたが、最後まで見てよかったです。

【映画感想】犬部!(2021)

2021年。

林遣都中川大志大原櫻子

 

実在する大学の獣医学部のサークル「犬部」を題材にした作品。

実話ベース。

 

構成は、基本的には犬部として活動していたころから10年近く後の時間軸で進んでいき、折々、大学時代の回想を挟むという形になります。

 

主人公は、保護犬、保護猫の殺処分0を目指す獣医。

当時、獣医になるには動物実験で動物を殺さなくてはならなかったそうです。

そんな時代にも主人公は動物実験代替法という、何十例ものオペに立ち会いレポートを提出するという方法で獣医師になります。それくらい、殺したくないという思いが強い人物です。

ちなみに、そのオペシーンで主人公のモデルとなった獣医師さんが特別出演されていました。

 

ストーリー的には、多頭飼育で崩壊したペットショップがらみのエピソードの割合が多いです。

 

現在の柴崎(主人公の親友)が前半全く出てこず、なんでかなぁ?という疑問を持たせるのもうまい構成だと思いました。伏線は張られており、後半にその理由が明らかになります。

 

作風はのほほんペットものというよりかは、問題提起、メッセージ性の強いものとなっていました。

大学を卒業してからの理想と現実のギャップに苦しむ主人公たちが久しぶりに一同に介したことで、いい方向に動き出すというのもいいですね。

こういうことがきっかけで新しい何かが始まることってありますもんね。

 

演者では柴咲役の中川大志さんが精神崩壊するところの演技がなかなかよかったです。

 

思ったよりもずっしりきた犬映画でした。

 

 

【映画感想】岬のマヨイガ(2021)

2021年。

 

主人公は17歳の少女ゆい。毒親の父親から逃げるため家出をしている最中に東北の震災が。避難所で8歳の声の出ない少女と出会います。

 

この二人の少女を見ず知らずのおばあさんが助け、家に住まわせます。

人を信用できないゆいは最初やたらめったら優しくしてくれるおばあさんに対してなにか裏があるんじゃないか?と疑っていました。

ただ、ともに一家三人で暮らしているうちに、人となりがわかってきて、打ち解けていきます。

 

しかし、そんな平和も長くは続かず・・・みたいな感じです。

 

 

感想は、なんか細田守作品みたいだな・・・というものでした。

最初はトトロ的な感じなのかな?と思いましたが、カッパが出てきたあたりから雲行きが怪しくなっていきます。そしてクライマックスは細田守のバケモノの子みたいな世界観になってしまいました。

 

私はバケモノの子の後半部分があまり好きでないため、こちらの展開も同じく残念に映りました。

 

おばあさんがする何気ない話が後半の伏線になっているため、ちゃんと見ておいたほうが良かったですね。

 

前半はそういう伏線がちらほら貼られつつも、田舎のスローライフを描いているため正直退屈な感じは否めません。

 

中盤は千と千尋みたいな世界観になり、クライマックスは妖怪大戦争チックに・・・というのは前述のように微妙に映り、なんだか中途半端感が・・・。

 

最後はお決まりの町の人達の記憶が都合よく消えるといういままで幾度となく見たご都合主義。2021年の作品がゆえ、まだこのご都合主義な手法って使われてるんだとちょっと驚きました。

 

雰囲気は良いのは認めますが、個人的にはあまり合いませんでしたね。