映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】フィールド・オブ・ドリームス(1989)

1989年。

ケビン・コスナー主演。

 

10年くらい前に一度見たことがある作品です。

程よく忘れていたので初見に近い形で見ることができました。

 

脱サラ農夫36歳(ケビン・コスナー)が自分にしか聞こえない謎の天の声「お前がそれを作れば彼はやってくる」を耳にします。

 

その声はしつこく聞こえてきます。

そして彼は悟りを開き、「それを作れば」の”それ”が野球場だと直感し畑の一部を潰して野球場を実際に作っちゃいます。

 

そしたら昔の有名野球選手、靴なしジョーが夜に幽霊として出現し、キャッチボールします。

この場面では最初無言でノックをしたりしますが、このなんていうか初対面なのに心はもうすでに通じている的な感じがいいですね。すぐに友達になります。奥さんと娘さんも理解がいいので、幽霊がなんだのと偏見なく接しているのも好印象です。

 

そいうのがありほんわかしますが、野球場を作るために減ってしまった畑の面積。なので収穫高は今までより少なくなり、貯金もありません。

 

そこで余計なお世話な知人が今売ったほうがいいと強引に家を奪いに来ます。本人はいいと思っているのでタチ悪いですが、普通の人から見たらおかしいのは農夫婦のほうなのでそれも致し方なしって感じですかね。

 

その後すぐに「彼の痛みを取り除け」という第2ミッションが与えられます。なんか天国に一番近い男を思い出しました。

 

結果遠くの街にいる作家先生に会いに行くことになります。

実際に会ってみると第一印象は最悪。その作家は過去のトラウマにより偏屈じじいになってしまっていて取り付く島もありません。

 

それでも地元の野球場に行くことに。

そこで主人公はスコアボードから天啓を得たので作家は不要になりました。

 

そして別れる際に、すごい事実が発覚。

主人公同様、天の声が聞こえていて、スコアボードの文字も見えたというのです。

 

そこから作家が仲間になり二人で旅に出ます。

もうこの辺からはいよいよ面白くなってきましたね。今までも結構面白かったですけど。もう話がどこに転ぶか予想がつきません。

 

そしてそのスコアボードに書かれてた人物を探すためのロードムービーになります。

んで実際にその人はおなくなりになっているということでした。

 

それからその人が幽霊(老人)として出現します。

ただ彼の信念で主人公の野球場には行けないといいます。いけばその人は幸せになる、だからいっしょに来よう!と主人公は力説しますが、彼は彼の思想があり、結局諦めることになります。

 

ここらへんは、主人公の友達が主人公のためを思うあまり家を売ろうと必死なところがちょっと重なりました。

 

結局、主人公と作家は手ぶらで農園の野球場に戻ることに。

ところがその道中に、先程の老人と同姓同名の若者をヒッチハイクで車に乗せる展開に。しかも野球をするそうです。

 

なぜ、別の街で老人の姿をした幽霊が、別の地点で若者の幽霊の姿として出現したのか。

その後物語はどういう展開になっていくのか?

という感じです。

 

 

感想はいろんな人の過去話がちょくちょく挿入されるというのもありちょっと理解したり記憶したりするのが難しい感じでしたが、最後はいい雰囲気で見終えることができました。

ただ、爆発的感動というのはありませんでしたね。

 

確執を抱えたまま死別した父親に対する後悔の念とかも終盤に絡んできますが、全体的にスピリチュアルで何でもあり感は否めません。

 

ちょっとモヤモヤするのは、なぜ作家先生のテレンス・マンがあっちの世界に行ったのかという謎。

あと主人公はなぜあっちの世界に行きたがっていたのかということ。

こんなに一生懸命奔走したんだからご褒美でそっち行ってもいいだろうと言っていたこと。

あれ?主人公はあっちの世界に行くためにがんばってたんだっけ?って思っちゃいました。

 

というかそのあっちの世界についてもそれが死後の世界なのかそれとも違う世界なのかが明らかでないということ。

確かに雰囲気はいいんですけれど、ちょっと雰囲気推しが強いかなとも思いました。

雰囲気推しと捉えるか解釈が鑑賞側に委ねられていると捉えるかは人それぞれの捉え方によりますけど。

 

でも彼の目的が父親への後悔の念の払拭のために、あっちの世界に行って親父に謝りたいというのはなんかわかる気がしますけど、実際には、若い頃の親父さんがあっちの世界からこっちの世界に最後来ていましたね。

親父さんはコスナーが自分の息子だと認識していたのかはわかりませんけど。コスナーは「父さん、キャッチボールしない?」って言ってましたが。

 

でもこの作品ネットでちょっと見るとサジェストにつまらないがあり、賛否両論があるっぽいです。

多分傾向としては野球が好きか嫌いか、興味があるかないか、父親とキャッチボールした経験があるかないかで好意的な人ほど賛だし、そうないひとは否っていう感じなんだと思います。

私はどちらかというと否側の要素が強めですけど、映画としては普通に名作に連ねられるくらい面白かったです。

【映画感想】ザ・ロック(1996)

1996年。

マイケル・ベイ監督。

ショーンコネリー、ニコラス・ケイジ

 

見るのは二回目です。

 

アルカトラズ監獄というダンジョン内でプロVSプロの殺し合いを描く映画です。

 

今見ると序盤から面白いです。

最初のなんてことないテロリストから送りつけられた爆弾を解除するミッションからして面白い。

焦りを煽る緊迫感のBGMが相乗効果となりハラハラします。

 

その後のコネリーが監獄から出るシーンもなんかとんでもないやつが釈放された!という感じです。

音楽は大げさですがかっこいいです。

 

さらにその後の前半の山場に至るまでのシーン。

オカマ口調の美容師、宙吊りにされるFBI長官のシーンもギャグテイストと本気の緩急が心地よく、その後はえ?ここクライマックスじゃ・・・っていうくらい街が破壊されの、娘さんとのしっとりとしたシーンとここでも緩急のメリハリがすごいです。

 

これが終わればメインミッションなんですが、もうここですでに満足気味です。

 

その後メインミッションである島潜入がありますが、正直なところやや物足りなさを感じてしまいました。前半の街破壊がド派手なのに対してスニーキングミッションはちょっと地味だったからかもしれません。

 

ロッコとか火の輪くぐりみたいななんかSASUKEみたいなステージがありました。というかこの映画の音楽ってSASUKEで使われていたような・・・気の所為ですかね。

 

とは言え最後は良かったですね。

私の記憶ではエド・ハリス演じる海兵隊の英雄の友人役のデビッド・モースが最後先頭を切って裏切ったんじゃ・・・と思いましたけど真逆でしたね。

この俳優はダンサーインザダークではクソみたいな役柄だったし、何かのアクション映画では裏切り者の刑事かなんかを演じていたのでそのイメージがあったからかもしれません。

 

テンポがよく、同一人物が魅せるときは二枚目、普段は三枚目といったようにキャラクターの緩急があり、ストーリー展開も緩急を意識したのでそのメリハリが気持ちよく、FBI長官のようなギャグキャラや、堅物と見せかけておいて理解あるヒゲの上司など、なんかクソのように見えて実はいいヤツ的な魅力的なキャラも居る一方で、エド・ハリスは終始ガチ調で自分の本当の気持ちとやってることの矛盾に葛藤するキャラ、そいつが友達で金を取るか友達を取るかで思い悩むキャラなんかもいて総合的に魅力的な映画と言えるでしょう。

【映画感想】フェイク(1997)

1997年。

アルパチーノ、ジョニーデップ。

 

2大スター共演のマフィア映画。

パチーノはイマイチパッとしないマフィア幹部、デップはそのマフィア組織に潜入するFBI捜査官です。

 

バレたらアウトの状況下で緊迫感のある映画かと思いきや見ていくうちにそんな感じではありませんでした。もちろんそういう要素もあるにはあるんですけど。

 

まず1番強く印象に残ったのはパチーノ扮するレフティのどこか憎めない、ほっとけない感じですね。

船上でソニーブラック(親分的存在)に気に入られたジョニデ扮するドニーを見て儚げな表情を浮かべる彼を見てもしかして今作のヒロインはこいつのなの?と思っちゃいました。

無駄な殺生をしないように親分を止めたり(でもそのモブは撃たれる)していいヤツ風なイメージがその時まではあったからですかね。

 

でもその後、敵マフィアグループを殺害したりするところでは普通にブっ○してましたけど。まぁ敵ですからね。

 

ドニーは設定では6年くらいずっとレフティと二人三脚みたいな感じになっていたようですので、マフィアではあれ鬼畜ではない彼に情が移るというのもなんかわかる気がします。

同時に彼に対して騙している罪悪感も感じていたのではないかと思います。

さらに劇中での描写もありましたが彼がマフィアとして生きていくうちに自分が何者なのかわからなくなったりします。FBIでありマフィアでもあるわけですからね。

それに追い打ちをかけるような夫婦間の不仲。

 

しかしながらこの混乱については演出も尺は少なめで比較的簡素なためか表面上のものにうつりました。まぁこの部分をこってり描写しますと、本筋のレフティとドニーの悲しき友情?というメインテーマが薄くなってしまいますので、これはこれで良いと思いました。

 

クライマックスのFBIとバレそうになる車でのシーンからの逮捕劇は緊迫感がありましたが、レフティは信じてくれたんですよね。その前の必死に組織から抜けるように説得するドニーも良かった。これは友達の命を救いたいという一縷の望みをそこに感じました。

 

逮捕された時もレフティソニーに良い弁護士つけっからな!っていいヤツっぷりを発揮していました。

 

それからいよいよネタバラシ。二人の捜査官がマフィアにドニーは実はFBI捜査官でした。証拠は押さえてあるよみたいなシーンの後にマフィア連中がドニーは裏切ってないと本気で思っているシーン。

 

そこを見て、え?もしかしてドニーはFBIの捜査官に化けていたマフィア?みたいなどんでん返し系の映画なのでは?と思いましたけど、彼らは単に完全にドニーのことを信用しているだけでした。レフティのみならずソニーブラックもめちゃくちゃ信じてました。

 

そしてレフティのラストシーン。

 

 どうせこうなるならお前で良かった

 

とドニーに伝えてくれというレフティのセリフ。

いや~なんとも切ないですね。裏切っていたとわかっていてもこう言うレフティ。この後粛清されるんですよね・・・

最後に報酬と勲章を受け取った時のジョー(ドニー)の表情もなんとも言えないです。

 

あとこの映画を見ててずっと、逮捕→その後何事もなかったかのようにマフィア連中が娑婆にいるというパターンが少なくなく、え?って思って見てました。

 

満足いく作品で見て良かったです。

【映画感想】壬生義士伝(2003)

2003年。

中井貴一佐藤浩市

 

新選組で剣術を教えていた吉村貫一郎が主人公の物語です。

 

ちなみに2002年1月2日にテレ東でやっていた渡辺謙主演の10時間の長尺ドラマ版(お正月にやってためちゃ長いテレ東の時代劇特番ですね)である壬生義士伝新選組で一番強かった男~は当時10時間テレビにかじりついて見てました。未だに思いますけど面白かったです。

 

ドラマ版では最初に雪降りしきる中満身創痍の吉村が大野次郎右衛門(故郷のおえらいさんで親友)の屋敷に辿り着くシーンが冒頭に描かれ、そこに至るまでの道のりを描いて後半で時がOPに戻り・・・みたいな演出をしていましたが、映画版は佐藤浩市演じる斎藤一が老人になった時系列で、偶然吉村のせがれと出会うシーンから始まっていました。

 

因みにドラマ版で佐助(お手伝い的な人)を演じていた村田雄浩さんが吉村息子の現在の姿を演じています。

 

構成的には、斎藤一の回想形式で吉村貫一郎との出会いから遡って語っていくという感じです。

最初は1番憎かった男みたいな感じで実際に第一印象がうざったくいきなり切り捨てようとします。それくらいなんかむかつくやっちゃなーみたいな感じでした。

吉村は貧乏すぎて冬をこすのもままならない家族たちのためとは言え、恥も知らずにお金お金と守銭奴っぷりを発揮します。

斎藤一が死体蹴りをするような同胞を斬り殺した際にも口止め料として金を掠め取ったりします。

 

しかし交流を重ねていくうち(中谷美紀演じる斎藤の女関連)に吉村に対して情を抱くようになります。

 

そして最後はこの男はかけ値なしに信頼できると思うくらい仲良しになります。

吉村が銃弾の嵐に飛び込んでいくクライマックス。

煙に消えた吉村、それが斎藤が見た彼の最後の姿でした。

 

その後は自害シーン、息子たちのその後についての話になります。

こういった構成はドラマ版と同じ感じでした。

 

ドラマ版は覚えてませんけど、映画版の自害シーンはちょっと尺が長いかなと正直思いました。ああ、泣かせにきてんなーと。もうちょっと短くても良かったかなと。

 

全体的には時代劇、家族愛、義の精神、斎藤との友情等ヒューマンドラマをバランス良く散りばめていて普通に高評価を得そうな作品だなぁとは思いました。

 

個人的には20年前の思い出補正、渡辺謙の眼力、演技、10時間をぶっ通しで見させるほどの面白さという具合にドラマ版のほうが良かったですかね。中井さんの盛岡弁?や、殺陣も良かったんですけど。吉村のどこかひょうひょうとした人の良さそうな感じは中井さんのほうが顔的にあってるかもしれませんけど。

映画も普通に良かったですけど。

 

【映画感想】耳をすませば(1995)

1995年。

ジブリ映画。近藤喜文監督作。

 

まともに見た記憶のない作品です。イメージとしては現代が舞台でなんとなく地味というのが見る前のイメージでした。

 

中学3年生の女の子・雫は、本を読むのが好きで図書館とかで本を借りてます。借りてくる本の図書カードに天沢聖司という先客がいることをある日発見します。誰なんだろう、きっと素敵な人に違いないというような感じに。

 

物語中盤になってから第一印象最悪の男の子がその天沢聖司だということがわかります。この頃には第一印象最悪からすでにいい感じになっていました。

 

実は最初から両思いみたいな感じだったことが判明します。天沢は雫のことが前々から気になって図書館で近くの席に座ったりなんかしちゃったこともあったそうで。

 

バイオリン職人を目指す天沢くんに対し、自分は何も夢がないことに若さゆえの焦りを感じ、執筆活動に没頭します。

産みの苦しみを知ることになりますが、精神的に一回り成長。

今はまだまだ荒削り、原石を磨くようにもっと勉強して高みを目指したい。

そのために高校に行くことを決めるというようなストーリーです。

 

 

子供の頃は全く興味のない作品でしたが、大人になってみるといい感じでした。

後半雫が病んでいく下りはストレスパートなのでややテンポがダレましたが、解放されると素敵なエンディングへ続く道が出現します。

 

個人的には青春恋物語というより、雫が一回り成長していく過程のほうがクローズアップされて見えたので、恋要素は二次的なものに感じられました。

リア充がどうのこうのというより、健全な関係に思えました。

 

天沢くんが飛行機で飛び立ってラストな感じかと思っていましたが、思ったより後半の雫の挑戦が長くてちょっとダレましたけど、見た後に見てよかったと思えた作品でした。

 

 

【映画感想】48時間(1982)

1982年。

ニック・ノルティエディ・マーフィ

 

豪腕刑事が脱獄犯の仲間と手を組んで脱獄犯を捕まえるというストーリーです。

 

冒頭、ニック・ノルティが同僚を助けるために凶悪犯に拳銃を渡すとこは?でした。

そして凶悪犯は拳銃をぶっ放しその同僚は殺害され逃げられてしまいます。

ここでニックが拳銃をぶっ放してたらストーリーは大体そこで終了です。

 

エディ・マーフィが出てきてから面白くなります。

最初は親密度がないのでニック→エディの扱いはテキトーです。

 

殴り合いの喧嘩みたいな一昔前の展開の後、腹を割って話して秘密を打ち明けたりします。

 

後半の雰囲気はいいですね。

ああ、また逃げられた~からのバーでの小休止みたいなシーンが結構多く、お前らそんなくつろいでる場合か→あ、でも手がかり失ったからしゃーないかみたいな緊張感が抜けるシーンがアクセントになっていていいですね。楽器隊、ボーカルの熱唱なんかも良かったです。

ニックと恋人の永遠にすれ違ってる電話とかもアクセントになってます。

ニック→エディがデレになるとこなんてニヤニヤしちゃいます。

 

犯人と遭遇すれば駅でドンパチ、カーチェイスでドンパチ、相手のアジトでドンパチとドンパチしまくってますが、決着はめっちゃあっさり。イケメンの犯人もインディアンの犯人のどっちも何故か自分は銃で撃たれないみたいな正常性バイアスがバグりまくってるやつでそれで結局本当に撃たれてお陀仏というのが雑ですが、まぁ面白かったからいいやという感じです。

 

終わってば教科書のような凸凹バディもので面白かったです。

 

【映画感想】アイガー北壁(2008)

2008年。

ベンノ・フユルマン主演のドイツ映画。

殺人の壁の異名を持つアイガー北壁初登攀を目指す二人の若き登山家を描く作品です。

 

大自然の容赦なさ、恐怖、絶望を色濃く描き出した作品でそれはもう見ていて涙が出そうになるくらいでした。

 

当初はラストで無事登攀出来てバンザイくらいを予想していました。

主人公のトニーも相棒のアンディも凄腕のクライマーだからです。

ですが序盤過ぎくらいでオーストラリア隊と合流して4人に行動するようになってから急激に問題が頻発するようになります。

 

いきなり落石でオーストラリア隊の片割れヴィリーが大ダメージを負い足手まといになります。それから何度かのビバークを挟みつつ頂上を目指しますが、ヴィリーがいよいよ限界となり下山することに。

 

ここのシーンは印象的でした。アンディは直接は言いませんが、お荷物を見捨てても上を目指すスタンスです。対してトニーは人命最優先。このまま上を目指してもヴィリーは頂上から下山するまで確実に持たないという理由から下山しようと言います。

 

トニーの熱弁でアンディは折れます。そして動けなくなったヴィリーは文字通りのお荷物となり隊の負担となります。

 

天候は更に悪化し、雪崩によりオーストリア隊のエディが壁に頭を打ち付け絶命。

トニーがアンディ、ヴィリーを一人で支えるという形になります。このままでは3人共倒れとなることを予見したアンディが自らザイルを切り、ヴィリーともども谷底へ落ち死亡。

トニーは絶叫します。

 

もうこの時点で悲しすぎます。序盤あんなに仲良よかった親友だったのにこんなにあっさり・・・

ヴィリーを見捨てなかったというのが最大の判断ミスでそこから負の連鎖がすごいことになりついに相棒の命までも奪われてしまいました。

さらにすごいのがこの、アンディがザイルを切ったという事実がさり気なく後の伏線となっていることです。

 

トニーは装備をほぼ全て失い、救助を待つことしかできなくなります。

皮膚は赤黒くただれ手もガチガチでまともに動かすことができません。

 

今夜この吹雪を耐え忍べば明日は止むので助かるかもしれない、でもこのままでは死んでしまう。とうことで恋人のルイーゼが寒い中近くまで来て励ましてなんとか命をつなぎとめます。

 

翌日、昨日は悪天候過ぎて無理だった救助が行われます。

しかし、アンディがロープを切ってしまったせいで、長さが足りないということに。

 

でもなんとかなる。恋人のラブパワーもあるし、救助されるだろう・・・親友の犠牲もあった、でもこれから乗り越えていくんだろう、助かって、生きて。本当にそんなことを思ってみてました。この時までは。

 

でもそれからまさかの展開が。

恋人、救助隊を目の前にしながらトニーは限界を迎え絶命します。宙吊りのまま。

あと一歩届かず。

 

アンディが死んだときも、嘘だろ、と思いましたが、このときはもう最大に嘘だろ・・・まじかよ・・・でした。

 

というのも、北壁の猛吹雪に耐えている彼らを見て、私は心のなかで劇中の人物と同じように頑張れ!と唱えてました。それくらい入れ込んでいたわけです。

ところがどっこい、終わってみれば全滅。

実話とは言え落胆するったらありゃしない。

 

ラストは残された恋人のその後が描写されて物語は幕を閉じます。

 

とにかく山は怖い!大自然なめたらあかん、そんな殺生な!という現実的な恐怖感を強く私の心に刻みつけた作品。

すごい鬱です。