映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】トレーニング デイ(2001)

2001年。

デンゼル・ワシントンイーサン・ホークの刑事モノと思いきや…

 

新米刑事のイーサン・ホークがベテラン刑事のバディ・ムービーなんですが序盤から違和感がありました。

 

この違和感の正体は後にわかることになるんですが、そこに至るまでに新米刑事イーサンとシンクロしてるような錯覚に陥ります。

 

そうなるように持っていくデンゼル・ワシントンの演技+彼のキャリア(大体正義マン)+凄腕のベテラン刑事という役の肩書等によりすっかり騙されしまいます。

いい人なのか悪い人なのかわからない掴みどころのない役どころを好演しています。

 

演技もさることながら彼の発するセリフ(脚本)も良いんですよね。

口八丁手八丁で相手の心を悪い意味で掴んじゃうもんだからそこに謎の説得力があるんです。間違ったことでも自信満々に言うと案外人は信じちゃうあの感じに似てるかもしれません。

 

場面にしてもレイプされかけている少女を救うところとかその伏線回収のイーサンがギャングに殺されかけるところも臨場感あり迫力ありで画面に釘付けにさせるものがあります。

 

作品全体に前述のデンゼル・ワシントン演じるベテラン刑事から発せられる悪玉なのか善玉なのかよくわからない”鑑賞側の疑心”のような違和感(うまく表現できませんが)が常に渦巻いていてそれが全体を通して見る側の没入感を高めているような感じもしました。

 

ラストシーンにも現れていますが、この映画にはそこはかとなく”焦らし”も感じます。ラストはてっきり取り囲んでいるコミュニティの連中に殺られるのかと思いきやそこで焦らして最後に衝撃的な結末を持ってくるという感じでこちらの予想をワンテンポずらすようなものも感じます。

 

そんなこんなで”騙す”のがうまい映画だなぁという印象です。これは中々良いですね。

【映画感想】ウインドトーカーズ(2002)

2002年。

ジョン・ウー監督の戦争映画。

ニコラス・ケイジ主演。

 

太平洋戦争時のサイパンが舞台。ここで米軍と日本軍がドンパチするという内容です。

 

この戦争映画はとにかくドンパチしまくりな印象です。

命が軽い軽い。

あと日本人が悪者として描かれてるので日本人である私がこの映画を見るとどうしても微妙な気分になってしまいます。

 

主人公である軍曹の与えられた命令は日本側に暗号を解くカギであるナバホ族の通信兵を渡さないことなんですが、せっかくオリジナリティ出せそうな題材がそこにあるにも関わらずドンパチにかまけてしまっています。

 

個人的にはナバホ族との交流とかをドンパチ時間削ってもそこに割り当てこいつらは守らにゃ!という気持ちにさせて欲しかったです。

 

やっぱり明らかにドンパチ偏重で人間ドラマ部分が足らず、その結果感情移入が全然出来ず登場人物たちが物語を構成する単なる駒に見えてしまうのは問題です。そのため薄っぺらい、スッカスカという残念な印象になってしまいました。

 

もうちょっとどうにかならなかったのか・・・という微妙な出来でした。

【映画感想】許されざる者(1992)

1992年。

クリント・イーストウッド監督主演の西部劇。

 

娼婦がかけた賞金目当てに隠居した元悪党ガンマン(子持ち妻他界生活苦)が賞金目当てに他に二人引き連れ…という流れです。

 

ストーリーはわかりやすく比較的見やすいです。

 

西部劇と言えば白昼の酒場前での睨み合いとか荒野での決闘なんかのイメージですが、この作品はそういうのもありつつ、夜のパートも印象深いものがあります。

暗がりに僅かな明かりという酒場の感じとか絵的に良いですね。ラストの雷鳴轟く雨降りしきる夜とか。

 

キャストではジーン・ハックマン演じる保安官が醸し出す緊張感が中々のものです。主人公が怪我の手当を受けているパートで介抱してくれた顔が傷だらけの娼婦とのやり取りもなんかいいです。

 

西部劇と言えば劇中で軽々と命が消費されていくイメージがありますが、この作品では明らかに命の重みを全面に出しています。命を奪うことに当事者が葛藤し後悔します(舎弟の人)。そこが良くこの人もひとりの血の通った人間なんだという当たり前な感じが出てて良かったです。

 

クライマックスは派手なドンパチというわけではありますが、緊張感、凄みは中々のもの。ストーリーの巧妙さ、映像の凄さ以外の何かがこの映画にはあり少しの余韻を感じることが出来ました。

地味な感じですがなかなか良かったです。

 

 

【映画感想】バケモノの子(2015)

2015年。

細田守監督のアニメ映画。

 

ずっと子供のまま最後まで話が進んでいくと思っていたので中盤で青年になって人間世界に戻る展開はリアルタイムで見ていると予想がつかずに少しワクワクしました。
事前情報なしで見てよかったと思ったところです。

 

育てのバケモノの父と人間のリアル父との間で葛藤するところまでは良かったんですが、それからなんとなーく予定調和的な様相を呈してきます。

 

でもそれは良いと思います。そこから人間編をやられてもそこまでの展開が無意味になってしまいますし投げっぱな印象になってしまうからです。

 

序盤の子供時代のやり取りも好きでバケモノ世界編も捨てがたいと思ったので、どっちかに絞って振り切って欲しいなぁという気持ちもありつつ・・・という感じで甲乙つけがたいんですけど、それを一つに融合させると無難な印象になってしまう・・・というようななんとも惜しいというかなんというかな作品です。
自分でも書いててなんだか訳わからなくなってきました。

 

ただ後半の展開が唐突というか雑ですね。なんでこんな方向に転がってしまったんだろう・・・と。途中まではベスト・キッドみたいだったりバケモノに育てられた青年が久方ぶりに人間世界になったらどうなるんだろう、あれ?勉強し出したぞ・・・まじでリアル社会編なのか・・・?リアル父出てきたし・・・とかわりと先が楽しみだったんですが、いかんせん終盤が・・・。

 

ラスボスも幼少期の見た目と物語の流れ(序盤の人間の闇がうんたら~主人公と共通する得体のしれないなにかの描写等)からああきっとこいつも・・・ということで驚きというよりやっぱりという感じでした。

 

ライバルとのバトルに振るよりどちらかというと里の人達との交流をもうちと濃厚に描いてほしかったかなぁと言うのもあります。でもバトルをウェイトが狭くなると序盤でしていた修行の意味がなくなってしまうかも・・・。

 

でも街中でのバトルはなんかシュールかつ(言っちゃ悪いけど)チープかも。
最後盛り上げるためにアクション映画の予算消化大爆発みたいな超展開も安易かも。
ヒロインに関してもそいつに時間割くとバケモノの父の描写時間が減ってしまうというジレンマを抱えていてやっぱり絞ったほうがよかったかなぁ・・・と。


でも絞りすぎると予定調和感が出てリアルタイムで見ているときの話の方向性が読めないあの感じが殺されてしまうし・・・。でも結局なんか知らないけど終盤は劇場版ドラゴンボールみたいになってるし。なんなんでしょうね。

 

でも強引のスケールデカくするのは個人的にはあまり好きじゃありません。ということで後半のバトルはやっぱりこれじゃない感満載です。
あと刀に転生というのも正直唐突でついて行けない感が。

 

と色々考えているうちに映画が終わってしまいました。

 

色々文句が出るってことはきっと自分はこの映画のことわりと好きなんじゃないかと思います。

 

一件落着したけど主人公これからどうすんの?と思いましたけどまだ若いしリアル父ちゃんの経済力もそこそこあるだろうし、あとは勉強していくらでも取り返せるんで全然人生詰んでませんでした。若さっていいなぁと思いました。

 

終わってみれば色々あったけど割とまとまって微妙な文句は多々あれどそこそこ良かったです。

【映画感想】るろうに剣心 最終章 The Beginning(2020)

2020年。

佐藤健主演。

 

実写の最終章THE Finalとアニメの追憶編OVA、原作コミックは視聴済み(10年以上前ですけど)。

 

るろ剣エピソードの中でも屈指の人気を誇る追憶編の実写版。

巴役は有村架純

 

縁はちょろっと出てきますが最後に真っ白になって再登場はせず、志々雄が内通者を処理するシーンなし、巴の生理なし、キスあり、巴と暮らした住処を遺体ごと燃やす等原作を知ってるが故に気付ける違いはありますが、問題ないです。

 

基本的に原作準拠で進んでいきああこんな感じだったなぁとだんだん思い出してきました。

有村架純は復讐相手を愛してしまう内通者を演じていて、相反する2つの感情の葛藤に悩む難しい心情を宿す女性という役どころをちゃんと演じられていたと思います。

 

巴を斬ってしまうシーンも原作ではなんかご都合主義というかうっかりミスみたいな感じがしましたが、そこに至るまでの描写が実写版ではちゃんとしていたのである程度の納得感はありました。

 

原作通りすすり泣く巴を抱きしめるシーンこそありますが、剣心自体が巴の死に対してダイレクトに涙することなく死後日記を読むシーンで(俺が殺した・・)みたいな漫画的なシーンはなく、安易なお涙頂戴に走ることなくあくまでこれは実写映画なんだという割り切りはまぁ良いです。

 

まぁというのは個人的には多少安っぽくてもいいからわっかりやすいお涙頂戴成分がちょっとはほしいなと思いました。渋すぎます。

 

これで私はるろ剣実写版を全部観たことになりますが、これが一番良かったかもしれません。観たばっかというのもありますけど。

 

【映画感想】ザ・コール [緊急通報指令室] (2013)

2013年。

ハル・ベリー主演。

 

緊急オペレーターと誘拐されてトランクに押し込められた少女のやり取りを描きます。

 

前半は電話という数少ない手がかりから犯人を特定していき、後半は特定された犯人の気が狂っていき、終盤に猟奇殺人鬼の本性が御目見えという感じです。

 

前半のノリで最後まで行くかと思いきや、終盤はオペレーターである主人公が現場に乗り込んでいき犯人と直接対決という感じになりなんだかなーと。

猟奇殺人犯VS女主人公というのは羊たちの沈黙っぽいです。

そしてお約束の展開があって・・・とそこまではいいんですが、予想外だったのはラストの後味の悪さです。

 

悪いやつをやっつけたのでスッキリするはずなんですが、え~これで終わるんかい!という驚きはありました。

ちなみに終盤はアビゲイル・ブレスリン(当時17歳くらい)が下着いっちょで動き回ります。

 

最初から最後までリモートで解決(ギルティという映画がそんな感じ?)という路線を内心期待していましたがそうはならず残念に思うと同時に最後ああするか~という少しの驚きもあるなんともかゆい映画でした。

 

 

【映画感想】ファースター 怒りの銃弾(2010)

2010年。

 

ロック様演じる主人公が兄の仇に復讐(連続殺人)していくという内容。

なんからしくないです。

太陽の男みたいなイメージの肉体派俳優ドウェイン・ジョンソンがコソコソ天誅とかうーんという感じです。

闇を抱える役どころというのがこんなにも似合わないとは。

 

ライバル的ポジションの殺し屋演じる若者も暗殺者の割になんかヘタレという印象です。よく目をうるうるさせてるし。

 

ストーリー自体はよく見るテンプレにそってスピーディーに殺っていくのはいいんですが、下手にミステリー要素を加えているためかなんだかスケールがこじんまりとしている印象です。想像の範囲を越えてこない無難で手堅すぎな感じがします。

 

黒幕もふ~んという感じ。最後に意外な展開がありますけど頭に金属部レートが入ってるので死んでませんでしたとかなんか雑です。

 

ロック様が出てるので観てみましたが正直微妙でした。