映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】太陽の季節(1956)

1956年。

長門裕之南田洋子が結婚するきっかけになった映画だそうです。

お二人が主演。

 

ストーリーはやんちゃな学生が酒、タバコ、女、暴力に興じる狂乱の若気の至りを描くという触れ込みなんですが、いまいち伝わって来ませんでした。

 

感想は正直イマイチパッとしない映画でした。

感情が動いたのは葬式の最中に長門裕之が鐘を遺影に投げつけるシーンです。

こんなシーンを見たのは初めてで素直にびっくりしました。

 

それ以外はパッとしません。役者の演技レベルも全体的にお粗末ですし。

というか、石原裕次郎が端役で出ててなんで長門裕之が主演?と思っちゃいました。逆のイメージだったんで。

 

ストーリー展開上、長門裕之南田洋子にひどいことをするんですが、全然頭に入ってきません。

というのもリアルで長門裕之南田洋子はおしどり夫婦でそのまま老人になり逝ったというのを知っているためです。

そんなイメージを先入観として持っている中、なんだかいろいろお粗末な映画の世界に没入することができませんでした。

原作が芥川賞の問題児的な作品なので多少は期待しておりましたが微妙でした。

【映画感想】探偵物語(1983)

1983年。

薬師丸ひろ子松田優作

 

1980年代が舞台ということで鉄道のきっぷ売り場が昔なつかしだったり、きっぷを切るのが自動改札機じゃなく、駅員さんだとか昔の日本を感じさせます。

 

主人公は大学に通うお嬢さんで、近々アメリカに行くことになっています。

大学には憧れの先輩なんかがいたりしてそれなりに充実した大学生活を送っているように見えますが、本人は退屈だと感じています。

 

憧れの先輩と一夜をともにする寸前までいくものの(先輩はイケメンで背が高くチャラ男気味)探偵の松田優作が乱入。それが二人の出会い。

 

それから一緒にいるうちに打ち解けていきます。

そんな折、松田優作の元嫁が指名手配に。恋人のヤクザが何者かに刺殺されたのです。さて犯人は誰なのか?そしてその後どうなる?

という感じです。

 

感想は面白かったです。

若干そこは巻きでいけよと思うカットが散見されますが、まぁいいでしょう。

 

ヤクザが殺されるところから物語が転換し、本格的な探偵パートが始まります。

犯人は後から見返すと伏線もあり犯人当て自体は簡単だと思います。

ただ、見ている最中は誰が犯人かわかりませんでしたので、ああ、そういうことかという納得はありました(驚きはありませんでしたが)。

 

ただ、メインは大きな殺人事件の解決というよりかは、薬師丸ひろ子松田優作の微妙な恋関係なんじゃないかと思いました。

 

出国前夜にお泊り上等で松田の家にやってきて、ホテルで処女を捨てたみたいな告白をするシーンはなんともじれったい感じがしてやきもきしました。

 

ただ、ホテルで行きずりの男と何もなかったと最後に打ち明けてくれて鑑賞側としてはスッキリした感じもします。

おそらく何もしていないんだなぁと思いつつも、排気口のトリックを発見した後になんの描写もなかったため、不確定だったからです。

なので正式に本人の口から何もなかったというはっきりとした発言があってスッキリしたのだと思います。

 

最後はまぁなんというか、そうなのねという感じでした。まぁコレが無難なんでしょうね。

 

終わってみれば、意外とそうでもなかったかな?と思いつつも、見ている最中の没入度は高く、今は結構なおばさんになってしまった薬師丸ひろ子が初々しく中学生くらいの見た目なのも新鮮で、松田優作も良かったです。息子さんの松田龍平さんっぽいですね。演じ方も遺伝するのかな?なんてことを思いました。

 

 

 

結局、松田優作薬師丸ひろ子を護衛しろと依頼した人物が誰なのかは語られませんでした(父親ですかね)。

【映画感想】LUCY ルーシー(2014)

2014年。

スカヨハ主演。

 

韓国マフィアに脳みそを活性化させるけど24時間くらいで死ぬみたいな薬の運び屋にさせられた女性が主人公です。

体の中に手術でブツ埋め込まれます。

しかし男から暴行され、体内で薬袋が破裂。

その脳みそを活性化させる薬の成分が溶けだし、主人公の覚醒が徐々に始まる・・・という感じです。

 

突っ込みどころが満載ですが、そういうもんだと思えばなんとかついていけます。

そういうもんだと思わせるような劇中説明が優秀かどうかで没入度は変わってくると思います。

こちらの映画はちょっと勢い任せなの目立ち、正直そんな馬鹿なという感じではありました。

 

超能力というものの存在を私は信じてないため、サイコメトリーしたり、サイコキネシスのような遠隔物体移動をしたり集団強制催眠したりする描写に?となっておりました。

でもああ、たしかに超能力方面のアプローチもできるなと思いつつも、でもやっぱりそんなバカな感を払拭できませんでした。

 

脳を活性化具合が10%から始まり、20、30と増えていき、最終的に100%になるというのは中2っぽくて嫌いではありません。

 

マフィアとの抗争にしても、ボスを殺れるチャンスがあるのに中盤で見逃して、結局最後に襲われることになり・・・とにかくスカヨハをかっこよく見せたいというのが第一で脚本は二の次で投げやり気味という印象を受けました。ラストもなんか投げた感があり、え?それで終わりなん?と思っちゃいました。

 

60%くらいから、戸愚呂兄みたいに細胞を操って肉体操作したり、体から細胞を出してスパコンに接続したりとだんだんぶっ飛んでいきます。脳みそを100%引き出せればスパコン以上の計算能力がありそうなのに、わざわざスパコンに接続してあれこれするのはどうなのとも思いました。

 

最後は絵的に壮大になり、時間を高速で巻き戻したり、宇宙の始まりまで遡ったりしますが、あくまで絵的に壮大なだけなので1人で盛り上がってる感を感じてしまいすげーみたいな感覚にはなれませんでした。

 

そのため勢い任せにぶっ飛ばした結果最後に空中分解して投げた、そんな感じの映画でした。

【映画感想】沈黙の断崖(1997)

1997年。

セガール主演。

 

今回は環境保護庁の調査官役。

同僚が原因不明の死を遂げ、その調査のためにとある田舎町に潜入捜査。その裏には不法投棄をしている悪徳大企業がいました。さてどう潰すか、そんな内容です。

 

登場人物が清々しいほどの悪党っぷりで見やすいです。

例えばヒロインポジのサラの兄。

妹をレイプ→親バレ→親殺す→俺がいなくなったらお前生きてけんぞと妹を脅迫→親殺しを妹がしたことにする(未成年だからすぐ出てこれる)というようなことをする外道っぷりです。

 

要所要所でセガールがチンピラをぶっ倒します。

まさに用意されたバトルステージというわざとらしい感じはありますが、上記のようなクズを鉄拳制裁していく姿は普通にスカッとします。

 

ラスボスである悪徳会社社長も上記の流れを汲み、セガールのボコられるのかと思いきや、裁判にかけられることとなります。

そこで罰金を受けますが儲けた金額からすれば微々たるものです。

 

ここで終わったらスカッとしません。

でもセガールは調査官をやめて(実際にはやめてないんだけど)お前らをぶっ潰すと宣言。

FBIと協力して社長の殺人関与なども含め証拠をこれでもかというほど集め逮捕状を作成。

 

そして敵のアジトのカジノへ。

ここでラスボスと対峙するわけですが、ラスボスは60歳のおじいちゃんなのでド派手なアクションとかはありません。取り巻きもおとなしめでガッツリバトルはありません。物足りなさを普通なら感じそうなものです。ですが、ラスボスとの舌戦はなかなか良かったです。舌戦と言っても終始セガール演じる大塚明夫がおちょくるという感じですが。

 

最後はラスボスが悪い往生際を見せ、最後っ屁で銃を放ちますがセガールには効かず、逆に反撃。最後にラスボスはクソ馬鹿野郎みたいなセリフを吐きますが、それを涼しげにスルーするセガールがかっこよかったです。

 

最後は無事にヒロインと結ばれるというきれいなEND。

終わってみればなかなか良かったですね。沈黙シリーズだったんですが。

【映画感想】ザ・インターネット(1995)

1995年。

サンドラ・ブロック主演。

 

プログラマーの女性が極悪ハッカー集団に付け狙われるという内容です。

 

この映画で怖いと思ったところは身分の証明ができなくなり主人公が八方塞がりになるところです。

主人公は自分の個人情報を証明する術を奪われ、他人のなりすましに遭います。

自分がこういう事になったらどうすればいいんだろうとゾッとしました。

 

ストーリーに関してはもう一捻り欲しいなと思うくらいあっさりと終わってしまいました。

あと登場人物も少ない印象です。最初に接触してきた男がそのままラスボスになります。そのラスボスの手下みたいなポジションも主人公になりすましていた女性なので、サイバーテロ”グループ”という感じはあまりしませんでした。

 

決着の仕方も消化器のような鈍器で二連打で下に落としてやっつけるという感じであっさり。

主人公がプログラマーということでサイバー対決みたいな感じを期待していましたが、蓋を開けてみればよくある女主人公が魔の手に追われ続けるというもので、設定の活かしきれなさもまた感じました。

【映画感想】リプリー(1999)

1999年。

マット・デイモン主演。

 

最初についた嘘が雪だるまのように大きくなっていくというストーリーです。

 

裕福じゃない家出身の若者が主人公。ひょんなことから大富豪と知り合いに。息子探しを依頼。連れ戻せば破格の賞金ゲットです。

 

金持ちの息子はクソ野郎です。でもそんな彼に次第に惹かれていく主人公。そう、彼は同性愛者だったのです。

 

金持ち息子は最初こそ主人公に対して好印象でしたが、やたらアピってくる主人公に嫌気がさしてきます。

主人公も主人公で金持ち息子に対して不満な点を多々心の奥にしまっています。

 

そして呉越同舟とばかりに二人きりのボートで互いが本音を打ち明け爆発します。

 

ここでちょっと考えさせらえましたね。やっぱり住む世界が同じじゃないと本当の友情は培われないんじゃないかと。

自分は何も支払わず、友達のお金にヒルのように吸い付いているようだと、そこに主従関係のような心理状態が形成されるし、絶対に覆ることにない事実なので喧嘩した時にそこを突かれるぐうの音もでなくなるからです。だから喧嘩はできません。では果たしてそんな関係は友達と言えるのでしょうか?そんなことを考えてしまいました。

 

取っ組み合いになっているうちに金持ち息子の顔から流血。それにブチギレた金持ち息子は主人公を殺そうとします。主人公もとっさに反撃し、過剰防衛で金持ち息子を殺してしまいます。

 

その後ホテルの受付に金持ち息子に見間違われた主人公がなりすましを決行します。

マット・デイモンジュード・ロウって似てるかな?という疑問が浮かびましたが、そういうことにしときました。

 

金持ち令嬢のケイト・ブランシェットがまた出てきてからは、三谷幸喜王様のレストランの宋支配人のエピソードのような、(脚本的に)ついた嘘を利用してどこに転ぶかわからないというようなテクニカルな感じになってきます。

 

ある人物には金持ち息子として振る舞い、またある人物には主人公リプリーとして振る舞うというレギュレーションになります。

そこでうまくかち合わないように(ばれないように)立ち回っていく脚本の処理がうまく、ここでこの物語は面白いなと確信しました。

 

いやいや、普通バレるっしょみたいな主人公補正がかかったご都合主義のストーリー展開と言えなくもないですが、見ている最中はいつバレる?終盤に刑事がやってきたシーン、グウィネス・パルトロウに詰め寄られたシーン、探偵がやってきたシーンででアウツかと思われましたが、そこを乗り越えていったのは逆に良かったです。

もうここまで来るともう最後までバレずに突き抜けてほしいとすら思ってきます。

 

そんでラストの船のシーン。

ここで絶対ケイト・ブランシェットが再登場すると思ってました。唯一(じゃないかもしれませんが)現時点で主人公を金持ち息子だと未だに思っている人です(この人のご両親もそう思ってますが)。

ここでバレてしまうのかと思いきや最後は・・・

予想しなかったなんとも切ない結末となり見た後にぐったりしました。

切なすぎるんだけど、冷静に考えてみたらクソ自己中な主人公で吐き気がします。

せっかくベストパートナーに巡り会えたのに。

でもそうしないとすべてが崩壊するからそうせざるを得なかったんですけどね。

 

主人公があの後死体をどうするのか?とか考えるとバレるのも時間の問題のような気がします。

ケイト・ブランシェットは生かしておくことができませんけど、その更に先にご両親がいるので殺すべき人物が多すぎるので、どっか別の土地でひっそり新しいパートナー探しでもするのかなと思いました。

 

また、金持ち息子が船での戦闘で勝利した場合、その後処理はどうするのかなぁ?というのも想像が働きます。

 

ちょっと主人公補正が効きすぎな気もしましたが、十二分に楽しめたので良かったです。後味悪いけど。

【映画感想】美女と野獣(2017)

2017年。

エマ・ワトソン主演の実写版。

 

アニメのほうは一回見たことがあります。

お手本のような脚本に見るものをワクワクさせる美麗なCG。

 

食事を作るシーンと一番の見せ所と思われるダンスシーンの出来は素晴らしく鳥肌が立ちそうになりました。

 

今見ると設定はドラクエ8っぽく、恋物語花より男子っぽく思えます。

呪いをかけられて城や城のスタッフの人達が異形の姿に変えられてしまうところがドラクエ8ですし、第一印象最悪な両者が最終的に結ばれるというのは花より男子っぽく見えます。

 

獣に変えられた王子が引きこもりになって周りのスタッフの助力を得て女の子と仲良くなるというのは電車男のようにも見えます。

 

面白いのはシュレックとの比較ですね。今更気づきましたが、シュレックって美女と野獣のアンチテーゼみたいなものがあり、これって逆シュレックじゃんって思いました。

シュレック美女と野獣を元にしてるんですね。多分。

 

何が言いたいのかというと、この美女と野獣という作品には後の各方面の作品に多大なる影響を与えるくらいワクワクドキドキする要素が詰め込まれている素晴らしい作品だということです。

 

イチャコラ恋愛映画には抵抗があるんですが、こちらはアレルギーを発症することもなく普通に感動しましたね。

 

呪いをかけられてティーカップとかの姿になっていた人がその姿のまま意思を失っていくシーンはすごく寂しかったですね。

その後元の姿になってハッピーエンドとなるわけですが、あの姿は失われてしまったものの人間の姿に戻って万々歳なんですが、個人的にはお前誰やねんとなって愛着がどっかに吹っ飛んでしまったので、手放しで喜べない哀愁のようなものがありました。

そこんとこの匙加減がうまいなとも思いました。

 

個人的にはアニメ版を一回しか見ていないくらい思い入れは特になかったため、映像美的な意味でこっちのほうが良かったかもしれません。