映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】それでも夜は明ける (2013)

2013年の映画。

 

奴隷制度を描いた映画。

淡々系ですが構成が絶妙なのか不思議と飽きずに最後まで見ることができました。

 

主人公サイモンは自由黒人だったが運命の悪戯により奴隷として12年間を過ごすことになってしまいその12年間の出来事がメイン。もう最初からどうしてこうなった?状態です。

 

それにしても重い映画です。見ていてきついです。

主人公は奴隷として過ごす屋敷は2つあります。

最初の屋敷の主人はまともで奴隷に対して人間としての敬意を払う器量がありました。

しかし部下に嫌なやつがいてとある出来事によりプライドが傷つきそいつに目をつけられます。

そして執拗に嫌がらせをしかけてきます。首をつられてつま先立ちで首が閉まらないように小刻みに足をちょびちょび動かしていた姿が印象に残りました。このシーンは尺を長めに取っていてこんな状況なのに奴隷仲間も屋敷の人間も見て見ぬ振りです。なにかアクションを起こしたのは水を飲ませるためにやってきた人と外出から帰ってきた主人だけです。主人はこのままでは殺されるということで仕方なく売り渡すことにします。

 

そして売り渡された先の2番目の屋敷でのエピソードが特にきつかったです。エップスという主人とパッツィーという奴隷の関係が特に胸糞が悪かったです。若い黒人女性のパッツィーは他の奴隷の3倍近く働く優秀な奴隷でエップスは気に入っています。婦人はパッツィーに嫉妬しています。エップスはパッツィーを手放すくらいなら婦人と別れるとまで一時は言い放ちますが火に油でパッツィーに危害を加えるようになります。パッツィーはエップスの慰み者になっていてます。パッツィーはサイモンに殺してと言いますが断ります。

 

一方サイモンは信頼できると思っていた奴隷の同僚に全財産と引き換えに手紙を出すように頼み了承を得ますが裏切られます。エップスにチクられますがその場の機転でそんなことはしていないと言いくるめ罰は免れましたが、精神的に削られ金も取られ損に。そして2日後にわたすはずだった手紙を焼き払うというシーンは絶望でした。

しかしその後神様ブラピ様が現れてからは流れが変わります。

それにしてもブラピ。脇役なのに存在感が隠しきれてません。

 

そしてクライマックスとも言えるパッツィーむち打ちシーン。ここは本当にむごたらしく見ていられませんでした。エップスはサイモンに木に縛り付けられ全裸にされたパッツィーの背中をムチで叩かせます。手加減を見抜かれてからは本気でむち打ちます。パッツィーは泣き叫びます。背中の肉が抉れ血しぶきが飛びます。サイモンにやらせてから自分でも容赦なくむち打ちし、所有物で遊んでるだけ、すごく楽しいんだと言い放ちます。自分の精神状態により手のひらを返すようにパッツィーへの態度をころころ変えたり、神への不信心だとか都合のいい理由付けをして奴隷たちを痛めつけるエップスに反吐が出ます。

 

最後はブラピのはからいによりもともと自由黒人だったサイモンは救われますが、パッツィーはそのままでその後パッツィーがどうなったかはわかりません。パッツィーはあまりに救いようがないです。3人力くらい優秀で奴隷として模範以上の存在なのに少し持ち場を離れたとか自分の勘違いとかにより理不尽にしたことに見合わない罰を与えられるのです。人権について考えたこともありませんでしたがこういう制度があったからこそ人権というのができたのかなぁと思いました。

 

正直見ていてきつい絵の連続だったので見なければよかったと思うと同時に現実にはもっと酷いことが起こっていた可能性もあり人はどこまで悪魔になれるんだろうというようなことを感じました。