【映画感想」ニュー・シネマ・パラダイス(1989)
1989年。
イタリア映画。
成功した映画監督が少年時代にお世話になった人の訃報を母づてに聞いて30年ぶりに故郷に戻ります。劇中では少年時代にお世話になった人アルフリードと主人公トトの交流(回想の前半)と青年となり初恋の人との楽しかった日々や軍隊、そして故郷を去るまで(後半)を描いています。
この映画は全編に渡って強烈な郷愁が漂っています。一時代を映画館を中心に描いています。昔は油断してるとフィルムが燃えてしまう、キスシーンエロシーンがくるとベルを鳴らしてフィルムをカットしなきゃいけない(検閲)→これがアルフリードの仕事、後にトトに受け継がれる、けど時代が進むとそれもなくなっていき、技術革新でフィルムも燃えなくなった、さらに時代が進むと白黒からカラーになる、というように慣習や技術が劇中で変化していきます。
トトとアルフリードが最初に出会ったシネマパラダイス映画館は失火によりアルフリードの目とともに焼失、ニュー・シネマ・パラダイスとなり村の映画娯楽の全盛期を迎えいい時代、でも30年経ちテレビ、ビデオの台頭により客足は遠のき閉館、そして最後に立て壊しとなってしまいます。
私は映画を見ていて懐古心を揺さぶられたので構成とか演出は巧いなと思いました。
モリコーネの音楽は卑怯。音楽だけでご飯3杯いけます。
ラストシーンでアルフリードの遺したカットしたキスシーンをつなげたフィルムを見てトトが思ったことは解釈が分かれると思います。
私は最初見たとき???でしたが、解説サイトをちら見してああ、そういえば序盤にキスシーンはご法度でカットしなきゃいけない法律があったなと思いだしました。
この映画は結構序盤のトトとアルフリードの何気ない会話とかが重要っぽいですね。でないとラストシーンの意味がわからなくなってしまいます。
ただラストでトトが感じた感情の中身はそう単純ではなく、劇中で骨の髄まで愛した女性と生き別れになっていたり、恋人をとっかえひっかえして満たされないという現状も描かれていますので解釈は一つじゃないと思われます。
あと、イタリアが新年を迎えると窓からものを投げ捨てる文化があることを初めて知りました。花火も。
ここはトトがエレナに振られたと思わせといてすぐに結ばれる下げてから上げるみたいな演出なんですが、シネマパラダイスが炎上→すぐにニュー・シネマ・パラダイスになって蘇るんですがこういう演出好きです。
序盤もちゃんと見よう、な映画です。