映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】 ローマンという名の男 -信念の行方- (2017)

2017年。

デンゼル・ワシントンコリン・ファレル他。

 

地味ですが先の読めない展開で割と面白いです。

主人公は弁護士。ですが法廷ものというわけではありません。バリバリ裁判やってるシーンもありません。

基本的にうだつが上がらない系で冴えません。冴えないアフロにでっかい眼鏡、金八先生が着ているようなダサいジャケットというスタイル。

ちなみにサヴァン症候群でめちゃくちゃ記憶力は良いです。

 

貧しい人からもお金を取らないで親身になって弁護する系かと最初は思いました。

しかしそれは彼の師匠的な人の話です。いや、最初は彼も師匠と同じ信念を持っていました。

序盤でその師匠が入院して退場。事務所を畳むことになります。

そこにコリン・ファレル演じる大手弁護士事務所の社長がやってきます。そこで主人公の才能を見抜き、引き抜こうとしますが断ります。

 

働き口に困る主人公。

ボランティアで困っている人の法律相談をしているようなところに行きます。

そこで運営者の女性に惚れます。しかしそこはボランティアなのでお金は出ません。

 

困った主人公は結局コリン・ファレル社長の会社で働くことに。

ここがまず意外でした。

信念の強い主人公がそのボランティア的な所で働いて天使にラブソングをみたいに立て直して最終的にコリン・ファレル社と法廷で争う的なそんなしょーもない展開が頭に思い浮かんでいたもので。

 

それから主人公は刑事裁判で捕まった少年から聞き出した情報を警察に匿名でタレコミ、懸賞金をゲットするという重大な守秘義務違反(違法)をしてしまいます。

 

それからというものの、元々彼が持っていた信念(法律で荒稼ぎしない)をさっぱり捨て去り、現在の上司の信念に従い、拝金主義者となります。

ここも意外でした。

え?こういう展開?と思いました。

 

しかし悪いことはバレるもので、偶然弁護することになった相手が自分が売った男という事態に。

すでにバレてて、下っ端にお前を殺すと脅され狼狽。気になって手がつかなくなります。

 

さて最終的に主人公はどうなってしまうのか?という流れです。

 

キャストに関してはデンゼル・ワシントンがとってもかっこ悪い役を演じています。お金に目がくらんで信念が崩れ去ってしまう見た目も冴えないかっこ悪いおっさんです。

 

でも人間楽な方に流される生き物だと思いますし、守秘義務違反は法律違反なので普通はやらないにしても、信念を曲げて拝金主義者になってしまうということは割とありえることなんじゃないかと思いました。

 

主人公は信念が簡単に曲がっちゃうそんな弱い人間の一人で、そんな弱い人間を描いています。

 

でもよくよく考えるとこういう主人公は今まで観た映画の中でもそれなりにいたように思います(闇落ちするヒーローものの主人公とか)。

 

この映画の主人公が意外だったのは、絶対曲がらない信念を持ってそうな正義の弁護士がこんなになっちゃう映画は観たことがなかったからだと思います。

ただサヴァン症候群だという設定があんまり活かせていなかった気がします。主人公はちょっと風変わりですが普通に生活遅れるレベルですし(サヴァンに対して私が無知というのは置いておいて)。

 

主人公の言い訳的なよくわからない論理はアレですが、自分なりの方法でケリをつける方向性で行動したのはまぁ良かったんじゃないかと思います。

 

脇役ではコリン・ファレルの役柄が割と良かったです。拝金主義というのも法律の範囲内なのでまぁ問題ないですし、お金があるためか精神的に余裕があり、モラルもあり、まともです。しかも意外とやさしく、いいヤツで主人公のことを気にかけています。

 

コリン・ファレル自身も顔にいい感じにシワが入り、貫禄が出ててよし。

 

ただ全体的に地味な映画ではありました。

お金の余裕が心の余裕、悪いことをすると償うまでそれがついてまわるし、心を蝕む。

そんなことを思った映画です。