映画生活

基本的にネタバレ有りなのでご注意ください

【映画感想】コンテイジョン (2011)

2011年公開。主演はマット・デイモンですが主役級の人たちが多数出演しています。

 

たった今見終わって感想を書き始めている(2020/05/24)わけですが、東京都の新規感染者数も少なくなってきている時期なのでどこか遠い昔のことのような気分で見ていました。もちろん現在進行系で新型コロナウイルスと人類は戦っているわけですが、もう少し前の意識的にもデンジャラスな時期にこの映画を見ていたらもっと緊迫感を持って視聴できたのではないかと思いました。

人と人との接触を極力減らす、不要な外出を避けるステイホーム、外出したら手を洗う、消毒するというようなメッセージについても今見ると妙に親近感を感じます。まんまやん・・・と。3密はないですけど。

 

物語の構成はDay2(二日目)から人類が感染していく描写がはじまり、三桁もの日にちが経ってからワクチンが開発され、最後の最後でDay1が描かれて最初の感染者が誰かということがわかる仕組みになっています。きっかけはなんてことのないことでした。それが世界人口の数%の命を奪うという展開になったのです。今回の新型コロナの出処は不明ですが、最初は偶然の重なりとか運命の悪戯という些細なものだったのかもしれません。

 

また、過度なヒューマンドラマは挟まず淡々と人間の動きを描いているのも特徴です。その淡々さはいささか退屈に感じるかもしれませんが、リアルを描こうとすると自然とこうなるのかもしれません。

 

接触感染について神経質になる登場人物、ですがマスクについてはそこまで徹底していない点が若干気になりました。N95マスクレベルじゃないと感染者の口にかぶせて飛沫を防ぐ程度の効果はないのかもしれませんが。

またソーシャルディスタンス、クラスターという単語も普通に出てきますが、オーバーシュートは見かけませんでした。都市封鎖(ロックダウン)の描写もありました。

クラスターと言えばこの映画でも感染経路を調べるために登場人物の行動履歴が細かく調査されていました。この時主人公の妻が不倫をしていたという事実も伝えられることになります。

この映画に出てくるウイルスの再生算数(R)は後半の変異を伴った状態で(最低に見積もっても)4(4乗で増えていく)というとんでもない設定でアメリカ死者が250万人くらいになっていました。

 

ワクチン開発者の努力、自分の身内を優先する上層部(上級国民)、SNSの寵児、抗体を持つ主人公、ワクチンを求めて家宅侵入、店舗の強盗等の悲惨な状況も描かれています。”リンギョウ”や食料が底を尽きたときの店の暴動は日本でこれまでに度々ニュースになったマスクを巡る警察沙汰を思い出します。

57番ワクチンのくだり、日本のドラマだったら57番薬効あり!と言わんばかりの盛り上がりと壮大な音楽が流れ出しそうですが今作は至って質素な演出です。

そこからワクチンが国民全員に行き渡るのに1年はかかるというのもリアルです。ちなみにこの作品では(一般市民対象では)誕生日による抽選で1日目は3月10日、2日目は・・・というような決め方をしていました。

 

最後のマットデイモンが亡き妻のデジカメを見て涙するシーンがやはり印象的です。

しかし別にハリウッドスターをこんなに集めなくてもよかったのではとも思ってしまいます。まぁいいんですけど。

 

コロナが終息するのはいつになるかわかりませんけど、コロナ終息後にパンデミック映画がまた作られるとしたらどのようなものになるのかが興味があります。